2014年5月14日水曜日

宝善院


山号寺号 加持山宝善院霊山寺
建立   養老七年(723年)
開山   泰澄
開基   -


龍口明神


龍口寺の隣に龍口明神社跡があります。境内には入れませんが、まだお堂や狛犬などが残されています。これほどまでに生々しい跡を見たのは金沢の浄林寺以来です。龍口明神は、腰越の記事でも少し触れましたが、この辺りで田畑を荒らしたり、子供を食べるなど土地の人々を困らせていた五頭龍を祀る神社です。江ノ島弁才天との出会いによって心を入れ替え、土地の人々を助け、やがて村人から愛される存在となり崇められてきたと云われています。今回訪れる宝善院は、江戸時代にこの龍口明神社の別当となっていました。宝善院では「龍口明神の神宮寺」という表現をしています。調べた限り、別当寺も神宮寺もほぼ意味は同じようです。

龍口明神社跡
未だ境内に残るお堂と狛犬

龍口明神は、大正12年の関東大震災で全壊し、その後改築されたものの、昭和53年に湘南モノレール西鎌倉駅から近い場所に移転したそうです。


宝善院関連史跡


龍口寺を正面に見て、右にある細い路地を入って行きます。ぼたもち寺を過ぎると、宝善院に関連する阿弥陀池があったとされる腰越小学校辺りとなります。阿弥陀池は、明治の頃まであったそうです。宝善院の開山の泰澄が名付けたもので、さらに昔は光明真言池という池がもう一つあったとのことです。

Google Map 腰越
①宝善院 ②古墳時代横穴墓 ③観音堂跡 ④阿弥陀池跡 ⑤龍口寺 ⑥龍口明神 ⑦江ノ電江ノ島駅

さらに進むと、お寺も何もないのに墓地があって、その他に地蔵や庚申塔が並べられています。『かまくら子ども風土記』の記述からもここが観音堂跡と思われます。こちらも宝善院が管理していました。

庚申塔などの石塔類

そこからまた進みかなり宝善院付近まで近づくと、古墳時代横穴墓と思われる横穴が住宅地奥に確認できます。宝善院の裏山と丘陵続きです。こちらは副室などの造作もみえたので、やぐらもしくは防空壕として転用されたのかもしれません。

古墳時代横穴墓と思われる横穴

宝善院にあった古絵図には、龍口寺及び龍口明神の眼前まで波が打ち寄せている様が描かれているそうです。つまり現在の江ノ電江ノ島駅辺りはその絵が描かれた時代では海の中となっていたそうです。また、時代がかなり遡ってしまいますが、『鎌倉市史 考古編』にある縄文時代の地形想定図を見るとやはり、若宮大路が当時は海中だったように、腰越の辺りもスッポリ入江になっていました。やはり古墳時代横穴墓が営まれそうなエリアだったみたいです。

龍口寺から宝善院に向かう道 普通の住宅街の様相

そして龍口明神から伝ってきた道沿いにようやく宝善院の石碑が現れます。そのずっと奥に山門らしきものが見えます。現在は住宅街となっていますが、往時の参道部分でしょうか。結構距離があります。

宝善院入口

宝善院境内


地蔵が入口で迎えてくれ、山門をくぐると、下画像で見える範囲が大よその境内です。それほど広くありません。往時の裏山部分と思われる少し高い場所に墓地、山門を出て少し奥に行くと大師堂という建物があります。

薬医門形式の山門
宝善院境内

宝善院縁起


天平神護年間(765~767)に越後国越知山の僧で越の大徳と云われた泰澄が十一面観音を祀ったのが寺の起こりだと伝えられています。泰澄は越前・越後辺りにまたがる白山を開いた人です。いわゆる白山信仰のもとになっていて、鎌倉では、今泉の白山神社金沢の白山寺など、この白山信仰に関連すると思われる社寺がいくつかみられます。上記したように、江戸時代には宝善院が龍口明神の別当寺に任ぜられ、その他にも御嶽大権現社・春日社・第六天社・観音堂など多くの社寺を管理していたそうです。ちょっと現在のこじんまりした境内からは想像しがたい盛況な雰囲気が資料から伝わってきます。


宝善院を囲む丘陵部分は鎌倉寺社らしく墓地として活用されています。江ノ島神社にかつてあった岩本坊・上ノ坊の僧侶の墓があります。近世の墓です。寺域頂部まで行くと遠くまで景色が望めました。


垂直に削られた切岸部分をたどって行くと横穴を発見しましたが、穴が塞がれていることやその形状からも防空壕の類のようでした。

丘陵部切岸

そして宝善院のクライマックスは丘陵部にこれでもかと咲くお花畑。4月の鎖大師(青蓮寺)の法要には、片瀬・腰越の信者達は、この寺の前を通るのが本道だというので、乗り物に乗らないでわざわざ遠回りして歩いて出かけたそうです。 地元の方からは厚く信仰されているようです。

4月撮影



より大きな地図で 江ノ島・腰越 を表示

探索期間 2014年4月
記事作成 2014年5月14日

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