2015年10月10日土曜日

大磯・湘南平史跡めぐり ~ハイキングコース編


大磯に行ってきました!大磯といえば東海道の宿場町、それから近代においては政府要人の別荘地といったイメージが強いかもしれませんが、曽我物語に登場する虎御前がここに住んでいたことからも、大磯が中世から宿場町として栄えていたことが伝わってきます。そういえば『吾妻鏡』にも将軍頼家が遊女らと一夜を楽しく過ごした様子が記されていましたね。また8世紀前後に開創されたと伝わる高来神社は、朝鮮半島からの移住者に由来する史跡です。その他にも古墳や横穴墓も所々に残されているとても興味深い土地柄なんです。

Google map 大磯
①大磯駅 ②釜口古墳 ③化粧井戸 ④高来神社 ⑤高麗山 ⑥浅間神社 ⑦湘南平 ⑧揚谷寺横穴墓

ある程度目ぼしい史跡は事前に調べておきましたが、駅前に観光案内所があったので立ち寄ってみることに。観光マップをもらい、さらに色々と史跡に関する情報を教えてもらえたので、その日の具体的なスケジュールを決定することができました。大磯駅を出発し、釜口古墳へ、その後化粧坂を経由して高来神社、高来神社裏山からハイキングコースに乗り湘南平へと向い、下山途中に揚寺横穴墓に立ち寄ることとしました。

大磯


上記したように大磯は近代日本における政府要人の別荘地でした。観光マップをざっくり見ただけでも旧吉田茂邸を筆頭に大隈邸・伊藤邸、そして伊達・陸奥・鍋島・西園寺などなど、挙げていくときりがないほど印されています。駅前には当時のモダン建築だったであろう洋館が残されています。ツーバイフォー工法で国内では最古の部類となる建築遺構だと現地案内板にありました。

大磯駅前洋館 旧木下家別邸

最初の目的地となる釜口古墳に向う際、初めて来た場所なのにかなりマニアックなルートを選んだためか少し道に迷ってしまい、戦前まであったという料亭跡(地元の方に聞いた)、旧安田邸裏山にあった謎の石像物群などを山中でみかけました。イノシシ注意という看板にこれから歩くハイキングコースに期待で胸が膨らみます。だってイノシシが生息するだけ自然が残されているということは、つまり遺跡や遺構もかなり遺されていると考えられるじゃないですか。まぁ実際にイノシシに遭遇したらどうしたらいいのかわかりませんけどね。


釜口古墳


ということで少し上でも触れましたが、観光マップに印されている道が実際は藪で閉ざされていたり、私の相変わらずの方向音痴ぶりも加わったりで、釜口古墳に辿り着くまでにかなりの時間と体力を失いました。

釜口古墳

ようやくたどり着いた釜口古墳ですが、フェンスで覆われています。ここまで来てそりゃないよという思いもあり、ちょっとフェンスを越え中に入らせてもらいました。中を見た瞬間ビックリ!、てっきり横穴墓だと思っていたのがコレは石室じゃないですか!こういうの初めて見ました感激です。現地案内板によれば、築造時期は古墳時代後期とありました。横穴墓と同じ時代です。周辺はすっかり住宅が建ち並んでいるため造営当初の墳丘形態は明らかではないそうです。

釜口古墳石室

古墳のある辺りは周辺地上部より高台となっており少しだけ遠くが見渡せます。向こうに見えるビル群は平塚の辺りでしょうかね。

釜口古墳からも近い伏見稲荷神社の辺りから

化粧坂・化粧井戸


釜口古墳から地上に下りるとちょうど化粧坂と呼ばれる道の一里塚碑の辺りに出ます。江戸時代に最も賑わっていた界隈だったのでしょう、陣屋などが当時はあったそうです。それにしても化粧坂と聞くと鎌倉を思い出さずにはいられません。化粧井戸という虎御前が化粧をしたと伝わる井戸がありました。

化粧坂
化粧井戸

高来神社


化粧坂から国道1号を進むと高来神社となります。裏山を高麗山と云います。不思議な名前ですがそれもそのはず『箱根山縁起并序』に、神宮皇后の時代に「高麗大神和光」が大磯の峰に渡来したことから高麗寺と云うとあるそうです。若光をはじめとする高句麗系渡来人がここ大磯に定着したという経緯があり、以前は山頂に上宮が存在し最盛期には24宇あり朱印百石を受けていたと『おおいその歴史』にありました。もともとは高麗大権現と称し高麗寺の別当が司っていましたが明治の神仏分離によって高麗神社と改め、明治30年にさらに高来神社と改められました。

鳥居と高麗山
高来神社

高麗山~湘南平ハイキングコース


さて、いよいよ高来神社裏山から尾根道を伝い湘南平を目指します。高麗山の標高が168m、湘南平の標高が181mとありました。鎌倉の山々よりずっと高いです。そして男坂と女坂という2つのルートがあります。「男なら男坂でしょ!」と息巻いたのも束の間、観光案内所で「男坂は草の根つかんでよじ登る感じ」「はぁ?・・」と傾斜がきついとかそれ以前の問題であったため素直に女坂を進もうと決めていました。但しですね、女坂もかなり傾斜があると言われました。

高麗山見取り図

しばらくは切通し路の心地よさや緑の美しさに気持ちも朗らかでしたが、息が切れてきます・・。厳しいことに延々と登り坂なんですココ。途中で少しだけ景色を望めました。息を切らしながらも真っ青でとてもキレイな海岸の景色に見とれてしまいました。

高麗山ハイキングコース女坂
高麗山中腹から見た景色

上宮跡とされる頂部平場に到着した頃には息も切れ心拍数も最大。普段はハイキングコースで「緑がキレイ」とか言ってのん気に写真を撮っていますが、このときは余裕がなかったのでしょう。家に帰って画像を確かめると、この高来神社~高麗山の間だけほとんど写真を撮っていないことに気付きました。平場は確かに何かがそこにあったような雰囲気です。また高麗山は修験道が行われていたともあったので神武寺と少し様相が似ているのかもしれません。

高麗山頂部大堂 上宮跡

上宮跡から湘南平を目指します。結構登るだけ登ったのでここからは比較的平坦な道のりとなります。途中に橋がかかっていました。何故かというと、掘割状がハイキングコースに横たわり、堀切のような状態になっていたからです。鎌倉の堀切が境界線だという事例をいくつか実際に見てきましたが、もしかしたらこれもそういう意味合いなのかもしれないと思いました。そう考えると確かに、なんとなくこの辺りまでが高来神社の領域のような気もしてきます。

ハイキングコースに架けられた橋と掘割状地形

浅間山に近づくと尾根が太くなります。そして草花や野鳥に興味のある方には良好な場所のようで、色々とくつろげる環境が整えられていました。

浅間山付近尾根

浅間山・浅間神社を過ぎると湘南平がすぐそこです。目印ともなる鉄塔が見えてきました。私は気付かなかったのですが、鉄塔の金網に南京錠に恋人同士の名前を書いて施錠するという願掛けが昔から流行っているんだそうです。

湘南平からの景色と鉄塔

それにしても湘南平からの景色は格別です。パノラマ360度見渡せます。湘南の海が見える方角も素敵ですが、富士山の見える小田原方面、平塚平野の向こうに見える大山方面と、何処を向いても素晴らしい見晴らしでした。ちなみに湘南平は曽我物語に由来する「泡垂山」という名や「千畳敷」という呼び名もあるそうです。千畳敷という名からは現在の公園のように元々大きめな平場がここにあったとも考えられますが、どうなんでしょうね。

大山方面
小田原方面 右奥に富士山が見えてます
湘南海岸方面 ズームすると江ノ島が見えた!

揚谷寺横穴墓


湘南平から順当に下山すると高田公園の辺りに出て駅に向うことができますが、私はこの山にあるという横穴墓を見たかったので、もう一度浅間山方面に戻ったところにある岐路を下りました。下り道だったこともあってか意外にもすぐ目的地に到着した気がします。凄いです。古墳時代横穴墓がまんだら堂や百八やぐらのように何段にも連なっているのを初めて見ました。感激の景観です。鎌倉では稲村ヶ崎や深沢にかなりの横穴墓があったと鎌倉市史にあったので、宅地化があれほど進まなければこのような凄い横穴墓群が未だ現存していたのかもしれないと思いました。

揚谷寺横穴墓

現地案内板によれば、27基とありましたが私は13基しか確認できませんでした。もっと広範囲に点在するのか埋もれているのかもしれません。特筆すべきは様々な形状が隣り合っていることです。ポピュラーな半円形のものから切妻型まであります。また半円形も微妙に円になりきっていないというレア物まで確認する事ができます。現地案内板に「アーチ型が退化したもの」という説明書きがあったように、この横穴墓群ではその形態変遷を目の当たりにすることができます。横穴墓版百八やぐらといったところでしょうか。

切妻型があった!

ちなみに何故「揚谷寺横穴墓」と呼ばれているのかというと、現在駅近にある揚谷寺が元々この辺りにあったからだそうです。横穴墓群をあとにするとハイキングコースが終わります。高麗山であれだけ苦労して登ったのに帰りは意外にあっけない気もしましたが、この辺りが山中奥深くまで宅地化されている事情もあるようです。そのまま旧安田邸の横を通りJR東海道線線路にたどり着きます。

寺社・市街地編」へ続く。



カテゴリー 鎌倉日記
記事作成  2015年10月10日

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