2015年12月25日金曜日

雷神社と天神さま


社号 雷神社
創建 承平元年(931)
再興 天正九年(1581)
祭神 火雷命


京急追浜駅から程近い場所にある雷神社は、雷と書いて「いかづち」と読みます。天神との合祀や移転・再興など、浦郷(追浜)の歴史が凝縮されています。

Google map 浦郷
①和田山 ②雷神社 ③法福寺 ④良心寺 ⑤正禅寺 ⑥観音寺 ⑦正観寺

雷神社の起源


雷神社の創建は、承平元年(931)と伝えられています。『追浜の史跡探訪』によれば、孝徳天皇の御世となる645年頃、全国的に雨量が少なく、作物が出来ないため、天神に対し「可伯の儀」を行い、降雨を祈ったとあることから、雷神社の起源は恐らくここに発するのではないかと、同書では推測しています。最初は天神を祀り、後に朝倉能登守が改めて火雷神を勧請したとありました。

Google map 雷神社
①雷神社 ②追浜駅 ③ごじんや ④奥の院 ⑤鉈切遺跡 ⑥天神旧跡 ⑦天神(字名) 
⑧室ノ木ジープ山

元の天神社は、室の木の横浜商工高校(現在の横浜創学館高等学校)の南側にありましたが、明治初期に雷神社に合祀されました。地図画像でいうところの旧跡と印した辺りが横浜創学館高等学校の南側です。特別何かが残されている訳ではないようなので、詳しい位置はよくわかりません。周辺には「天神」の字名が残されています。この天神さまに因むものでしょう。

室ノ木 雀ヶ浦


夕照橋を渡ればすぐに野島となる室ノ木の辺りに、何やら遺跡らしき岩山があります。案内板も何もなかったので、ネットで調べていたところ、タウンニュース金沢区版にちょっとした情報がありました。この室ノ木の辺りでは「江戸時代後期には山頂に「四望亭」という展望台があり、また半島の先端部の断崖を天神崎と呼び、天神の祠が置かれ観光名所となっていました。」とありました。

岩山をジープ山と云う

上地図画像でいうところの、天神⑦から室ノ木⑧にかけては、往時ではちょっとした岬となっており「雀ヶ浦」と呼ばれていました。『追浜の歴史探訪』の云う「横浜商工高校(現在の横浜創学館高等学校)の南側」とは少し位置が異なりますが、あの辺り一帯が天神さまにまつわる地域だったのかもしれません。この天神さまが明治初期に雷神社に合祀されました。

ジープ山から見た野島

築島 奥の院


雷神社が元々あった場所が築島と呼ばれる辺りで、移転した後も奥の院として存在していました。『追浜の歴史探訪』から引用します。
「神社が築島にあった中世の時代、当時の習慣で女性は生理を迎えると、不浄として家族と別れ、村で建てた共同建物にこもって、生理の終わるまで女性達だけで一緒の生活をしていた。ある日、突然ものすごい稲妻と雷鳴が鳴り響き、彼女達が一心に祈り続ける築島にも落雷した。しかし傍らの柏壇の木に落雷しただけで、木は黒焦げになったが、彼女達にはカスリ傷一つなかったという。」

柏壇の木

この出来事に、朝倉能登守が奇跡に驚き、神の御加護にほかならないとし、天正九年(1581)、火雷命を祭神として雷神社を再興したと云われています。もと雷神社があった奥の院には、現在もその落雷して黒焦げになったという柏壇の木(ビャクシン)が残されています。

雷神社


そしてこちらが現在地にある雷神社です。雷神社といえば、まず何と言っても、樹齢400年を越えるイチョウの木の存在感に圧倒されます。朝倉能登守が天正九年(1581)に再興したとあったので、年齢的にもその頃のものでしょうか。ご利益がありそうなので、思わず触ってきました。階段を登ると本殿、そして小さな社殿がいくつかあります。

雷神社のイチョウの木

合祀されたのが天神さまだけではないようで、いくつも小さな社殿が境内にあります。また、いくつもの階段状の遺構が残されています。昔の境内の造りの名残りでしょうか。ここだけでなく神社でよくみられます。

階段状遺構

追浜駅前を通る国道16号が大よその浦賀道の道筋となりますが、厳密に言うと、雷神社前の鳥居と鳥居の間が浦賀道跡となります。金沢から和田山を越え、こちら浦郷村に入ると雷神社前を通ることとなります。そのままあの柏壇の木がある奥の院に向かい、国道16号を渡って御陣屋と呼ばれる谷戸沿いに進んでいきます。

国道16号沿いバス停雷神社前

かみなり? いかづち?


雷神社が元々あったという奥の院の場所が最初わからなかったので、地元のご老公に「雷(いかづち)神社が元々あった場所を探しているのですが」と尋ねたところ、「ん?・・あっ、雷(かみなり)神社のことね」と言われました。地元追浜では「いかづち」と難しく読まずに普通に「かみなり」と発音しているようです。雷をわざわざ「いかづち」と読んだ私がへんに物知りぶっているようで、なんかとても恥ずかしいような気にさせられたのを覚えています。


謎の多い追浜に魅せられて、追浜周辺に数回訪れました。そうこうしているうちにキレイな緑色だった雷神社のイチョウの木がいつのまにか紅葉していました。とてもキレイでした。



カテゴリー 探索記事(エリア別 浦郷(追浜)
記事作成  2015年12月25日

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