2016年12月22日木曜日

2016年12月鎌倉遺構探索便り 和田山・権現山・御伊勢山編


今回は追浜と金沢八景に行ってきました。紅葉の画像があるので随分前のものではないかと思われるかもしれませんが、この記事は12月19日の記録です。もうすっかり”終わった感”のある紅葉シーズンも、そこはやはり自然環境。地域によっては随分とピークを迎える時期が異なるようです。今さらこんなキレイな紅葉を見れるとは思いもしませんでした。

Google map 六浦

和田山遺跡は地下式横穴墓か?


最近、地下式横穴墓というワードをネット上で見つけました。調べてみると、九州の南部地方にしかみられない古代横穴墓の形式を指すようです。地下式といえば、横浜市と横須賀市の境にある和田山法福寺にあったあの特殊な”やぐら”(『和田山遺跡』)を思い出します。それから、『浦郷八景観音寺』にある縁起を読み返すと、日向の国(宮崎県)、つまり南九州地方から浦郷(追浜)にやって来た人たちの存在が浮かび上がってきました。この辺り何か繋がるんじゃないかと思い、ちょっとあの”やぐら”に改めて行ってみることにしました。

自撮り棒


今回はもう一度あの特殊な”やぐら”をただ見に行くのではなく、玄室内を覗くことはできないかと考えてみました。特殊型の玄室は地下にあります。潜りたい気持ちは”やまやま”ですが、陽の光が届かない暗闇空間にあの恐ろしい生き物がいるのは間違いないでしょう。恐ろしい生き物とはそう恐怖のカマドウマです。地下に下りずに玄室内を見るためにはどうしたらいいのか、思いついたのが、そう「自撮り棒~(ドラエモン風に読んでね)」。ということで早速アマゾンで購入。

自撮り棒~

収縮させると思った以上にコンパクトです。スマホと見比べてそのサイズが伝わると思います。ショルダーバックにも入ります。ですから必要なときにだけバックから取り出せばいいので、「あっあの人自撮り棒持ってる、恥ずかしい」とか後ろ指差されることもありません。

追浜・和田山


最寄り駅の追浜に到着。下画像は駅の陸橋から見える和田山です。あの特殊型に直行するのも法福寺に失礼なので、逸る気持ちを抑えて法福寺の本堂にアトラクション料金としてお賽銭とご挨拶をしました。

追浜駅陸橋から見た和田山

さて、肝心の特殊型ですが、自撮り棒が穴の底になんとか届くことは届くものの、いまいち上手く撮れません。また、何度やっても何故か玄室内の底面が写りません。仕方ないので「下りるしかないか」と思うもやはりその決断は却下。と、ここで思いましたが、なぜ玄室の底面が写らないのか、それは玄室がさらに低い位置にあるからだとここで気付きました。この特殊型のあまりの奇妙な構造に気づいたとき、とてつもない不気味さを感じずにはいられませんでした。期待して見ていただいた皆さんには申訳ありませんが、今回はこれ以上踏み込むのを断念します。

和田山法福寺の特殊やぐら
地下への穴
自撮り棒を突っ込んで玄室内を撮ったもの

和田山の特殊型について、改めて資料を調べ『和田山遺跡』の続編として記事にしてみようと思っています。面白そうです。良ければまた見にきてください。

金沢八景駅の再開発


それでは金沢八景駅に移動。駅前の再開発が着々と進んでいるようです。現在の進行過程を見る限り、なんと、シーサイドラインが京急の駅と直結するようです。そのため駅から国道を渡る歩道橋が撤去されていました。陸橋から見る瀬戸神社が好きだったのでちょっと残念です。そしてもう紅葉シーズンもすっかり落ち着いたのかと思いきや、駅の向こうに見える権現山が遠目からもイイ感じの色合いであることがわかるのでちょっと行ってみることにしました。

ちょっと残念な再開発中の金沢八景駅前

権現山・御伊勢山ハイキングコース


八景駅を出てすぐ左に行くと大学方面に行ける小さなトンネルがあります。トンネルをくぐると円通寺・東照宮があった谷戸となり、その奥が権現山・御伊勢山ハイキングコースの入口の一つとなります。そして民家裏に”やぐら”が見えました。円通寺の痕跡でしょうか。駅前の再開発が進むなか、こうして残されているものもあるんですね。

民家敷地内にあるやぐら

ほんのすぐそこが駅前だというのに、権現山入口から壮大な別世界になります。このギャップがたまりません。この絶妙なバランスをいつまでも保ってくれることを願っています。

ハイキングコース入口

まずは謎めく魅惑の馬蹄形地形が残されたポイントに向かいます。凄い!ちょ~キレイです。いきなりクライマックスを迎えたかのようなこの景色。特に赤というかピンク色に紅葉した部分がまるで絵具で塗ったんじゃないかと思えるような色をしていました。この美しさ、紅葉の度合い、陽の光の加減、周辺植物との兼ね合いなど、色んな要因が重なっているんでしょうね。

謎の馬蹄形地形の紅葉
絵具みたいな色

ハイキングコースを進むと今度は頂部が削平された丘状地形が現れます。ここでも素晴しいほどの景観が出迎えてくれました。

丘状地形頂部の紅葉

落ち葉で敷き詰められた尾根道を歩いていると、時折、六浦湊や六浦の街並みが望めます。またこの時期は藪が薄れるので地形が観察しやすくなります。尾根道のような狭い平場が何段も続くひな段状地形が随所で確認できます。場所によっては5段もの段差を一目で見ることができました。鎌倉でも見られるこの光景、やはり石切りによるものなのでしょう。作業には足場が必要ですから、こうした段々地形に削られたものと思われます。

関東学院の建物が見えるので瀬ヶ崎の辺り
わかりやすすぎる段差に萌え
いちいち素敵なハイキングコース尾根道

御伊勢山エリアでこれまた怪しい掘割状のような地形が現れました。近くに秘密の入口のような小径が続いていたので行ってみると、なんと、小さな社殿があります。御伊勢山だけに、これがもしかしてこの山にあったと云う伊勢神宮の名残りでしょうか。今さらながら新しい発見が出来たことに感動します。

この画像じゃ全然伝わらないけどとにかく壮大な地形

これがまさかの御伊勢さま?

御伊勢山の頂部を経て今度は上行寺裏山方面に向かいます。この辺りは丘陵を挟んだ両側にいくつもお寺があったためか尾根道の造作が複雑です。そして、見晴台と言えるような立派な場所はありませんが、所々で景色を望めます。

御伊勢山から見えた六浦湊
上行寺裏山からの能仁寺跡

ここまで来たら寄らずにいられないのが上行寺東遺跡(浄源寺跡)。最初見たときは「なんだ本物じゃないのか」とガッカリしていましたが、よ~く見学すると細部にわたって再現されていることがわかります。やぐら、五輪塔、首のない石像、建物跡が残る底面など、発掘調査の現場さながらの風景です。

上行寺東遺跡(浄源寺跡)

上行寺東遺跡からの景色

上行寺東遺跡から連なる丘陵壁面に石切り職人さんの文字を見つけました!まさかこんな所に!って感じです。でも相変わらず何ていう文字なのかわかりません。石切り職人さんの文字の特徴として、”ひとやね”とか”ひとがしら”と呼ばれる部首が必ず上にきて、その下に既存の漢字を持ってくるパターンが多いように思えます。と思ったら、下画像2枚目のように、一文字で「余」と読めるものもありました。解読にはもう少し色んなパターンを見ないとわかりません。

石切り職人文字
「余」?

上行寺で下山するとすぐにセブンイレブンがあるのでおやつを購入して一休み。そしてあの横穴が残されていることに安堵します。

上行寺のお隣にあるセブンイレブンと横穴

最近、『鎌倉の境界線』という記事を作成しました。鎌倉市内では洞門・隧道が塔頭・支院などの出入り口として活用されていた例がいくつもあることを取り上げました。もしかしたらこの横穴も・・なんて想像がわいてきます。

横穴のクローズアップ 細かい穴は何だろう?

それでは、このまま国道に出て泥牛庵や金龍禅院なんかに立ち寄るのも”あり”だと思いますが、この日はもう少し尾根道の感触を味わいたかったので、再び丘陵に登って権現山経由で金沢八景駅へと戻りました。それにしても、本日はこんな時期なのにあれだけキレイな紅葉の景色を見ることができました。神さまからのプレゼントでしょうか。仕事面は相変わらず上向きませんが一応がんばってるし、見てくれる人(神さま)って必ずいるんですよね、きっと。

権現山の尾根道

カテゴリー 鎌倉日記
記事作成  2016年12月22日

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上行寺

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嶺松寺跡

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泥牛庵

近世において藩主の見晴らし台として活用されたお寺

能仁寺跡

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金龍禅院

近世では多くの観光客が訪れた名勝の地

円通寺・東照宮跡

金沢八景駅に隣接する寺跡に残る謎の地形

瀬戸神社

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権現山・御伊勢山ハイキングコース

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