2013年9月29日日曜日

泥牛庵


横浜市金沢区にある泥牛庵(でいぎゅうあん)は、京急金沢八景駅から国道を少し下ったところにあります。近世では藩主の見晴台として活用されていました。金沢八景として名高いこの地から一体どんな景色が望めるのでしょう。

山号寺号 吼月山泥牛庵
建立   鎌倉末期頃
開山   南山士雲
開基   -


Google map 金沢八景

六浦道と泥牛庵


金沢八景駅前を通る国道16号から泥牛庵が見えます。画像の国道を挟んだ左側に金龍禅院が所在しています。国道は旧六浦道でもあり、ほんの近世までは泥牛庵のある丘陵から金龍禅院まで丘陵が繋がっていたそうです。この光景からは信じられませんね。旧六浦道はそのまま国道に沿うのではなく、泥牛庵からも近い信号金沢八景南口を曲がって入ったところにある商店街が連なる路地となります。

国道16号から見た泥牛庵
旧六浦道

泥牛庵境内


国道沿いに位置する泥牛庵は丘陵の中腹にあります。階段を上り山門をくぐると本堂が見えます。境内は一目で見渡せる程度の広さです。

泥牛庵

御茶山


金沢に陣屋が置かれていた時代、泥牛庵は御茶山と呼ばれた藩主の見晴台になっていました。墓地として整備された高台を登ると当時のお殿様が嗜んでいたのであろう眺望が望めます。

御茶山からの景色 国道・瀬戸内海方面
御茶山からの景色 能仁寺跡(陣屋跡)・金沢八景駅方面

背の高いビルに囲まれているため、当時は見えていたのであろう景色は望めません。がしかし、周辺の地形が昔はどうなっていたのか理解してから訪れるとこれら景色も違って見えるかもしれません。ということで、明治初期に作成された迅速測図で確かめてみましょう。

Google Earth 迅速測図
①泥牛庵 ②瀬戸神社 ③三艘 ④野島

周辺が近現代で開発される以前、近世では塩田が、中世では瀬戸内海が泥牛庵の周りに広がっていたようです。また三艘(地図画像③)は大型船が停泊していたことに因む地名です。ですから泥牛庵から港がすぐそこに見えたのかもしれません。さらに、東側に視点を移すと、海に浮かぶ野島、そしてその先にはきっと烏帽子島・夏島なんかも見えたのではないでしょうか。想像しただけでも絶景ですね。

境内にあったカエルのオブジェ

泥牛庵縁起


金沢区役所発刊『金沢の寺社』によると、泥牛庵(でいぎゅうあん)は円覚寺の末寺で、南山士雲によって創建されたと云われています。その後、室町時代後期に衰退・廃絶していく多くの鎌倉寺社同様、泥牛庵も衰微したようですが、承応二年(1656)に亡くなった習補玄道に復興されています。が、それも束の間、金沢藩(のちの六浦藩)の陣屋が置かれるために移転を余儀なくされました。その後、文化二年(1805)に再び復興され現在に至るそうです。

南山士雲の塔所円覚寺伝宗庵

正確な創建年月日が伝わっていないようですが、開山の南山士雲建武二年(1335)に亡くなっているので、なんと、かなりの高い確立で鎌倉期の創建かと思われます。そして能仁寺の塔頭だったとも云われてますが、これは『新編武蔵風土記稿』(以下風土記)の記述が元になっています。能仁寺は永徳二年(1382)頃の開創なので、風土記の説を信じると、塔頭である泥牛庵の方が先に建立されているというおかしな事になってしまいます。ちなみに、境内には能仁寺の住持のものと伝えられる梅隠祐常の宝篋印塔があるそうです。一時的に能仁寺に取り込まれた時期があったのかもしれませんが、泥牛庵は元々円覚寺の塔頭だったと考えるのが妥当な線かもしれません。

権現山・御伊勢山から見た泥牛庵 直下に広がる住宅地が能仁寺跡(陣屋跡)



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カテゴリー 探索記事(エリア別 六浦・金沢
記事作成  2013年9月29日
記事更新  2018年1月2日

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