2018年5月25日金曜日

真野大黒天・真野寺

真野大黒天

今回は南房総市久保にある真野大黒天こと真野寺に訪れてみました。真野寺は行基の作と云う木像千手観音立像を本尊とし、南北朝期の木像大黒天立像などが伝えられています。そしてなぜか縁起に北条義時が登場し、また”やぐら”に加え裏山の造作があるという鎌倉遺構探索好みの境内が待っているようです。


周辺の地理


真野寺が所在する場所は山間部の谷間という絶妙な位置にあり、東京から来た一見さん観光客にはなんとも説明しづらい立地となります。東京のサーファーに人気の千倉の上で安東氏所領の東側になります。と、こんなしょうもない説明しかできません。ごめんなさい。

Google map 安房国
①真野寺 ②安楽寺 ③正文寺

真野寺が所在する久保という地名は地形形状を表しているのかもしれません。周囲から隔絶した集落のような場所にあります。

真野寺周辺


真野寺境内


平日とはいえ駐車場に停まっている車が一台もなかったので、思いっきり枠を無視して駐車場の真ん中に自分の車を停めてみました。気持ちよかったです(笑)お寺の関係者らしき方に「御朱印いる?」と聞かれましたが、あいにくそういうのに興味がないので丁重にお断りしました。が、帰りにもまた言われたので、もしかしたら真野寺としては御朱印をもらってほしいのかもしれません。駐車場から坂を登るとあるのが祈祷所です。

祈祷所

駐車場から一段高い場所に祈祷所があり、観音堂がある平場はさらに一段高い所にあります。平場がひな壇状地形で連なっています。やっぱりお寺は鎌倉寺社のように段差のある方が趣きがあるし荘厳な感じがします。観音堂にはスロープでも階段でも向かうことができます。

観音堂に向かうスロープ
観音堂に向かう階段

丘陵中腹にあるのが真野寺のメインスポットである観音堂。その他には七福神堂、鐘楼、そして境内を囲むように遊歩道が設置されていて、四国八十八カ所をまわったことになるという巡礼路が施されています。そして巡礼を終わった方には巡礼の証を授けるとありました。やっぱり”あげたがり”・・。

観音堂
七福神堂
鐘楼


真野寺縁起


現地案内板によれば、真野寺は神亀二年(725)に行基によって現在地より東方にある高倉山に開かれました。建永元年(1206)に焼失しましたが、翌年に北条義時が大黒天に信仰が厚かったため私財を投じ当地に七堂伽藍を建立し、高倉山真野寺と称するようになったと伝えられています。ちなみに真野寺が建立された建永二年・承元元年(1207)は将軍実朝が16歳で北条義時の治世です。比企氏はもちろん将軍頼家や阿野全成に畠山重忠などが既に滅ぼされています。


観音堂


観音堂には行基の作と伝わる木像千手観世音立像、慈覚大師の作と伝わる木像大黒天立像、平安末期作の木像天王立像、建武二年(1335)作の木像二十八部衆などが安置されています。本尊の千手観音菩薩立像は室町期に制作された面を被り御開帳のときも素顔を拝むことができないことから覆面観音と呼ばれているそうです。また堂内には後藤義光と並ぶ安房の有名人、波の伊八の装飾が施されています。

観音堂内
真野寺の秘宝

これら真野寺の秘宝は特別な日にしか見せてくれないのだろうと思っていましたが、なぜか木像大黒天立像だけは普通に展示してありました。慈覚大師(794~864年)の作とありましたし、また北条義時の信仰があったとも寺伝にありましたが、南北朝期の作品なんだそうです。それにしても七福神って近世の頃にあのような姿に描かれるようになったと勝手に思っていましたが、中世にて既にこのような宝槌を持ったスタイルが確立していたんですね。

木像大黒天立像


巡礼路


観音堂の裏側丘陵部に四国八十八カ所をまわったことになるという巡礼路が施されています。ものの数分で歩ける距離です。

巡礼路
巡礼路
巡礼路


真野寺やぐら


真野寺にも”やぐら”が施されているということですが、ありました、安房特有の階段付きタイプです。館山地方のものと違って丁寧に作られている感じがします。宝篋印塔の残片と地産石から作られた石造地蔵菩薩立像が安置されていて、その他にも扉跡などの造作が確認できます。安房地方では美品の部類でしょう。

階段付き真野寺やぐら
真野寺やぐら内部

こちらはなんでしょうね、しかもこの楕円形の石に合うよう奥壁にちゃんと造作が施されています。

小さいやぐら

丘陵壁面を浅く掘り石塔類が置かれています。階段のような造作が残っているので、昔はこれを伝って鐘楼に上がって行ったのかもしれません。

丘陵部壁面の造作
丘陵部壁面の造作

見上げると存在感のある大木が・・、ツガ(栂)と云うそうです。

ツガ(栂)の木

ということで、真野大黒天こと真野寺でした。とても見どころの多い寺院です。もちろん覆面千手観音立像を見れたら良かったんですけどね。でも慈覚大師(794~864年)が彫った南北朝期の大黒さまを見れて良かったです。お寺の周りではもう紫陽花が咲いていました。

真野寺前面道路



史跡住所  〒299-2524 千葉県南房総市久保587
カテゴリー 探索記事(房総・安房で鎌倉遺構探索)
記事作成  2018年5月25日

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