2018年11月29日木曜日

長柄横穴群


今回訪れた長柄横穴群は、同日に訪れた笠森観音や妙楽寺からもまあまあ近いということでついでに立ち寄った感もありましたが、これまでに見たことのない高壇式という形状を確認できるなど、意外にも有意義な時間を過ごすことができました。但し、ちょっと不満な点も・・。

Google map 長柄横穴群


長柄


圏央道の市原鶴舞ICで降りて、笠森観音に訪れ、こちら長柄横穴群にやって来ました。直接ここに来るのであれば茂原長南ICの方が近いと思います。ところで長柄といえば、葉山の長柄、そして三浦氏家子の長江氏を思い浮かべます。何か関係があるのかと思いましたが、こちら房総の長柄は「ながら」と読むそうです。「ながえ」ではないのでたぶん全く関係ないと思われます。残念。

長柄の景色

長柄横穴群に近づいてきたところ、「対向車が来たらどうすんの」というとてつもなく狭~い道を進みました。東京から来た一見さん観光客にこんな道をチョイスするカーナビのセンスに不満を感じましたが、そもそもそういう道以外現地にたどり着く選択肢のないことが後でわかりました。

長柄横穴群周辺景色

到着です。遠目からも横穴が見えるのでテンション上がります。それにしても、横穴墓群って”おどろおどろしい”雰囲気が定番ですが、ここはかなり整備されているようで、とても明るく開けた感じです。ここで思いましたが、横穴墓の見学ってある意味ホラー映画を見る感覚に近いように思います。「これ見ていいものなのだろうか」とか「こんなところ入っていいのだろうか」とか、個人的にはそういったシチュエーションも横穴見学の魅力の一つなんだとこのとき気付きました。

とっても明るい長柄横穴群


長柄横穴群概要


こんな詳細な現地案内板のある横穴墓群が未だかつてあったでしょうか、こちら案内板によれば、長柄横穴群は第一支群と第二支群があって、見学できるのは第一支群のみとなるようです。また第一支群の中でさらに4つのグループがあります。ボリュームがあって見応えありそうです。

現地案内板

長柄横穴群では36基の横穴墓が確認されており、さらに長柄町全体では330基の横穴墓が確認されています。また隣接する茂原市や長南町にも横穴墓が多く、房総半島のなかでも有数の横穴墓集中エリアとなっています。

長柄横穴群丘陵

長柄横穴群からは須恵器・土師器・鉄製品などが主に出土しています。高壇式という他では見られない造りが特徴で、また線刻画のある横穴が複数あることも見逃せません。


階段と扉に萎えるの巻


整備が行き届いていて見やすいのはそれはそれである意味構いませんが、長柄の横穴墓がいくら大きいからとはいえ階段が取り付けられています。かなり萎えます。

まさかの階段造作

また下画像のように解説版を付けてくれるのは有難いことだとは思います。がしかし、線刻画のある横穴を全て厳重な鉄扉で塞ぐという暴挙に愕然。史跡保護のためだとはいえ、そもそも遺跡にイタズラするような常識のない人が横穴墓なんか見に来る訳ないと思いますけど。

解説版


高壇式と墓前域


心が折れそうになりましたが、せっかく来たのだから気を取り直して見学していこうと思います。上記したように長柄横穴群の特徴は高壇式という造りです。玄室が一段高くなっていますがそうですね、一般的な成人男性の目線がちょうど玄室の底面辺りにくるぐらいかと思います。ですから結構高さのある横穴なんです。

階段のないとってもイイ長柄横穴墓

また見てのとおり奥行きもあることから羨道部分のスペースも一般的なものより広めです。現地解説版にありましたが、墓前域といって墓の前で祭りごとをしていた痕跡も確認されているようです。

墓前域の解説版

玄室内はもしかして整備の際に何か手を加えたのかと疑いたくなるほど、そしてこれまでに見たことのないほど整然としています。また横穴一基に対して棺座が3~4つ施されていました。

解説版イメージ図
玄室内棺座部分


形状


形状はアーチ型・ドーム型・家(切妻)型と様々ですが、特に家形が興味深く、これまで神奈川県内で見てきた家形は正面から奥に向かうように作られていましたが、ここ長柄ではそれが横を向いているんです。言ってることが伝わりますかね。

正面から見た図
正面から横を向いて撮った図


線刻画


線刻画は見れませんが解説版やちょっとした資料から集めた長柄横穴群の画を紹介します。鎌倉市史で解説されていた洗馬ヶ谷横穴群の線刻画とも似ていると思いました。幼稚な絵だと同書では言及していましたが、この時代の技術ではこれが精一杯なのかもしれません。

線刻画の解説版
線刻画の解説版

顔から手や足が生えてます。小さい子がこんな絵描きますよね。また洗馬ヶ谷の線刻画もそうでしたが、大抵は船に乗っていたり、弓矢などで戦っている絵が描かれているものですが、こちら長柄では五重塔が描かれているとのことです(下画像)。これを五重塔と判断する想像力も凄いと個人的には思います。

五重塔

また以前に大磯で見た横穴墓の線刻画に、あまりにも幼稚な彫りだったので後世にて手を加えられたのだろうとそのときは思いましたが、長柄と大磯の画が似ていることから、大磯にあった線刻画も当時のモノなのだろうと今は確信しています。

長柄の線刻画
疑ってごめんね 大磯の線刻画

ちなみに敷地内には資料館があって見学もできるようですが、無人のため、わざわざ役所関係の人を呼び出して鍵を開けてもらう仕組みになっているようです。見学したいとは思いましたが、そこまでしてもらったら申し訳ないという気持ちがいっぱいで見学は断念しました。また公開されていない第二支群を見学してみようとその辺りをさぐっていると、下画像のとおり丘陵に登る術がありません。違う箇所から強引に藪を突っ切るという手段もありますが、次の史跡に向かいたいということもあったのでこちらも大人しく断念しました。

まさに断崖絶壁

ということで、高壇式横穴墓というとても貴重な形状を見学できて良かったです。但し、あくまでも個人の見解ですが、やっぱり整備の仕方が残念でなりません。物件のポテンシャルが高かっただけにそこだけが悔やまれます。

長柄横穴墓

参考資料
〇ちば見聞録
〇現地案内板(長柄町教育委員会)
〇『史跡長柄横穴群』



史跡住所  〒297-0213 千葉県長生郡長柄町徳増850-1
カテゴリー 探索記事(房総・上総で鎌倉遺構探索)
記事作成  2018年11月29日

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