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妙楽寺(千葉睦沢町)の森と木造大日如来坐像

2018/11/30

寺院 長生郡

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妙楽寺の森と木造大日如来坐像



千葉県は睦沢町にある妙楽寺は、何はともあれ、平安後期に制作された木造大日如来坐像でその名が知られています。また県指定天然記念物の森の中に所在するという、自然と融和した寺院だということなので向かってみました。

基本情報

山号寺号:東岳山妙楽寺
建立  :嘉祥年間(848~850)
開山  :慈覚大師円仁
宗旨  :天台宗

住所  :千葉県長生郡睦沢町妙楽寺500
駐車場 :有り

妙楽寺縁起


妙楽寺は山号を東岳山と云い、嘉祥年間(848~850)に慈覚大師円仁が開いたと伝えられています。天台宗寺院で、山岳仏教、もしくは修験道場としての一面を持ち合わせています。県指定天然記念物に指定された妙楽寺の森は標高80mの丘陵にスダジイの常緑樹林やシダ類など多様な植物が生い茂っています。

妙楽寺境内

『夷隅郡史』によれば慈覚大師が九十九里浜に漂着した霊木で二寸八分の木像を彫ったのが始まりとされ、もとは現在の字名でいう寺台という場所にあったと云われています。この地に再興されたのが康和元年(1099)のことのようです。

妙楽寺


「ここさっき通らなかったっけ?」と不安になるほど同じような畑と山の景色が延々と続くなか、ようやく「妙楽寺 ふるさとの森」という看板が現れて到着しました。駐車場からハイキングコースのように道を進みます。

妙楽寺の森

しばらくハイキングコースさながらに歩くのかと思いきや、すぐに本堂の近くにたどり着きました。石像仏の皆さまと歴史を感じる凄い様相の木に落葉植物が出迎えてくれます。

石像仏群
なんだか凄い様相の木

現地案内板によると、本堂は享保年間(1716~1735)に建てられた(建て替えられた)もので、堂内には重要文化財の木造大日如来坐像をはじめ不動明王立像や毘沙門天立像などが安置されています。また、寺院の配置伽藍でいう金堂にあたる密教的な建築は中世を偲ばせる優美端厳なものであるともありました。

本堂

靴を脱いで堂内にお邪魔させてもらいます。なんと、センサーでライトが付く仕組みになっていて見学しやすいようになっています。享保年間の建築といってもやはり古い建物なので隙間から外の光が差し込んでくる場所がいくつもありました。

堂内
堂内

御開帳は特別な日だけなので格子から覗くように大日如来坐像を拝観します。像は胎蔵界の丈六仏とも云うそうです。座っているのに2m以上あります。さらに、そんなに明るくもないライトの照明具合が逆にイイ雰囲気を醸し出しています。わざわざ東京から来た甲斐があったと感じさせる逸品です。また像は定朝(じょうちょう)様式(平安時代の仏師・定朝が確立した仏教彫刻の様式)が色濃く表れており、このことからも平安後期に作成されたことがわかるんだそうです。

丈六仏
フラッシュを炊いて撮った丈六物

下画像は側面から撮ったものです。向こうに格子が見えるので凄い狭い隙間から覗いているのがわかると思います。

内陣側面から

堂内にある欄間(らんま)彫刻は七福神図といって房総では有名な波の伊八(武志伊八郎信由)の師匠となる嶋村貞亮(1738~?)の作品です。

堂内にある欄間彫刻

よ~く見ると七福神たちが琴を弾いていたり、碁を打っていたり、書を読んでいたり、絵を描いていたりします。七福神が七福神の仕事をしていないんです。これは琴棋書画(きんきしょが)といって、大陸において聖人君子の人が身につけるべきものとされた四芸(琴・碁・書・画)を表したもので、つまり聖人君子の遊びをしていられるほど安定した世の中を謳歌しているという図になるそうです。

堂内にある欄間彫刻

境内はまだ続くようで他にも古めかしい建物の他、日吉神社などもあります。

妙楽寺境内
日吉神社

現地案内板に富士見台という箇所があったので行ってみようと思います。丘陵を少し登って行くと尾根となり、月山・羽黒山・湯殿山と、これでもかと色んな大神を刻む石碑がありました。

つまり出羽三山

ちょっと気になって調べてみたところ、山形県にある出羽三山神社のHPに詳しい記述がありました。山形県(出羽国)にある月山・羽黒山・湯殿山の三山を総称して出羽三山と云い、古くから山岳信仰・修験道の場として崇められてきました。また既に鎌倉時代から八宗兼学の山とも称されていたとのことです。ですからあの石碑は無造作に色んな大神を祀っている訳ではなく、この地が修験道場として、また僧八宗兼学の山として活用されてきた歴史を伝えているのかもしれません。

修験道の場だった妙楽寺

周囲を見渡せる場所に来たのでここが富士見台でしょうか。大した距離はありません。これといって何も見えませんが相変わらずもの凄い自然に囲まれていることがわかります。今でもこんなに自然豊かなのだから往時は修験道場として最適だったのでしょう。

富士見台からの景色
もう~とにかく自然だらけの景色

あとで気付きましたが、尾根道は本堂背後からも続いていて、この富士見台の尾根道と繋がっています。ですから境内に道が何本もあるんです。これが修験道場の跡なのかもしれません。


ということで妙楽寺は貴重な仏像に加え豊かな自然まで付属するという素敵なお寺でした。何はともあれ、大日如来坐像をあのような形でも公開してくれていることに感謝します。

参考資料

〇『夷隅郡史』
〇ちば見聞録
〇現地案内板(睦沢町教育委員会・千葉県教育委員会)
〇出羽三山神社HP

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