2018年11月28日水曜日

笠森観音・笠森寺


今回は千葉県長生郡長南町にある笠森観音こと笠森寺に行ってきました。岩山の上に観音堂が建つというその建築様式は日本唯一の四方懸造とのこと。下図は安藤広重の諸国名所百景で描かれたその笠森観音です。一目見て心奪われてしまいました。これは見に行かなきゃ損ですね。

笠森観音パンフレット


笠森観音アクセス


Google map

東京からアクアラインで房総に渡り圏央道にアクセス。市原鶴舞ICで降りる直前の高滝湖PAから見えた景色がもう~別世界。この朝靄の清々しい”空気感”が伝わるでしょうか。ちなみに笠森寺オフィシャルHPでは茂原長南ICからのアクセスを表記しているのでそちらの方が近いのかもしれません。

高滝湖PAからの景色

長南町周辺は見渡す限り田畑と山々の景色。そして電柱がなければ歴史モノの映画やドラマのロケ地に使えそうです。

長南町のほのぼの風景


笠森観音境内概要


さて、笠森観音に到着。境内案内図によると結構壮大な雰囲気です。しかも裏山周辺は県立笠森鶴舞自然公園に指定されているという雄大な環境。山などの自然と調和したこの様相、まさに鎌倉遺構探索好み。エクセレントな予感。

笠森観音境内案内図
①駐車場 ②女人坂 ③熊野神社 ④観音堂 ⑤天満宮跡 ⑥展望台 ⑦弁天谷池


笠森観音縁起


延歴三年(784)、伝教大師(最澄)がこの地に訪れ、光るクスの大木を発見しました。近寄ってみると木の根に十一面観音像がはめ込まれていたので、大師はここに庵を結び、そのクスの大木から十一面観音像を刻み安置したと云われています。その後、長元元年(1028)に後一条天皇の勅願で観音堂が建立されましたとさ。

木の幹から覗く観音さま


笠森観音


それでは、駐車場から案内図に女人坂と記された切通し路を上って行きます。途中にある熊野神社の辺りで別方向から来る切通し路とぶつかります。案内図に表参道とありました。ということは「今まで歩いてきたこっちは支道だったんかいっ!」という”今さら感“が半端ありません。後でわかりましたが、笠森寺は境内に向かう道がいくつもあるんです。

女人坂
表参道

趣きのある二天門をくぐるとそこにはあの笠森観音堂が。

二天門の雷神さま
観音堂

絵図とはちょっと違う雰囲気ですが、ホントに岩山の上に建てられています。がしかし、岩山の崩落防止のためでしょうね、全てコンクリートで固められていて、見る方向によっては若干ごっつい感じもあり、お城の天守閣みたいな風格さえも漂わせます。長さの異なる61本の柱が観音堂を支えているそうです。

観音堂正面
観音堂側面
観音堂側面

それでは靴を脱いでお寺が用意してくれているスリッパに履き替えて観音堂に登ります。階段の様相にも趣きがあります。

階段
階段

階段を登る途中で観音堂を支える柱の構造と岩山を間近で見ることができます。岩山の形状に合わせて柱の長さも調節されている苦労がわかります。また残念なことに岩山が隙間なくコンクリートで固められていることもわかります。

階段から見える観音堂構造

そして登った先にある観音堂からの景色はというと、周辺が緑に囲まれていることを実感できる雄大な景色でした。県立笠森鶴舞自然公園ですから。

観音堂から見えた景色 どこまでも自然!
観音堂からの境内

観音堂内には本尊の十一面観音菩薩、そして日蓮のお篭りの部屋というものがありました。笠森観音は天台宗なんですけどね。そして堂内は撮影禁止とのこと。

観音堂


笠森観音裏山


観音堂から周囲尾根を歩けるようなので少し行ってみようと思います。展望台を経てまた駐車場に戻れるようです。

切通しを抜けるとハイキングコース
観音堂裏山尾根道
尾根道上にある天満宮跡

展望台に到着。景色が開けたと思ったら・・霊園だったので違う方向を向くと遠くに街が見えました。相変わらず方向音痴なのでどちらを向いているのか、どこを見ているのかがよくわかりません。

展望台からの景色

展望台から下るように進むと弁天谷池となり駐車場に戻ります。ちょっと広い寺院境内を歩いた感覚でそんなに距離はありません。ちょうどよいボリュームで自然を満喫できます。

弁天谷池


磐座寺院じゃないの?


ところで、広重に描かれたあの笠森観音の絵図を見たとき「これって磐座じゃないの?」というのが個人的な第一印象でした。今回こうして実際に訪れてみてお寺の方に聞いてみましたが、そういった話は聞いていないとのことでした。

笠森観音

古来から観音堂の土台である岩山が自然崇拝などの何かしらの信仰の対象であったからこそ、そこにわざわざ観音堂が建てられたのではないでしょうか、そう思えてなりません。


やぐら


女人坂の二ヶ所でやぐらを確認できました。葬送のための横穴かどうかといった点においては疑問が残るものの、やぐらと呼んでもいい形状の横穴であったことは確かです。安房と同様に上総でも鎌倉のやぐら文化が浸透した結果、このような造作が施されたのかもしれません。

笠森観音の横穴

境内は未だ緑が残る紅葉に差し掛かった段階のタイミングだったようでとてもキレイでした。来てよかったです笠森寺。




史跡住所  〒297-0125 千葉県長生郡長南町笠森302
カテゴリー 探索記事(房総・上総で鎌倉遺構探索)
記事作成  2018年11月28日

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