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忍性の旧跡・三村山極楽寺跡・宝篋山ハイキングコース

2019/06/03

つくば市 ハイキングコース

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忍性の旧跡・三村山極楽寺跡・宝篋山ハイキングコース



良観房忍性が鎌倉入りする前に住していたという、つくば市にある三村山極楽寺跡に行ってきました。裏山の宝篋山にはハイキングコースが整備されているので史跡めぐりとハイキングをセットで楽しめるようになっています。つくば市まで来た甲斐のあるなかなか面白い史跡でした。東京から電車・バスで訪れるとなると、とてつもない時間を要しますが、車であれば、首都高の渋滞に巻き込まれないことが前提となるものの、一時間半程度で来ることができます。

地理院地図 つくば
①宝篋山 ②三村山極楽寺跡 ③小田城跡

三村山極楽寺


建長四年(1252)、西大寺律宗の忍性は三村山極楽寺に入り関東での布教活動を行っていました。三村山極楽寺(廃寺)がいつ創建されたのかはよくわかっていませんが、平安時代の山岳仏教に由来すると現地案内板にありました。また最盛期となる鎌倉末期では三村寺域に180余りの堂塔が建てられていたと云われています。一方で吾妻鏡にも登場する八田知家を祖とする小田氏が周辺一帯に城郭を築いていました。ですから宝篋山ハイキングコースは、極楽寺の裏山でもあり、また中世山城の痕跡も残されているという、なかなか面白い史跡なんです。

小田城下町から見た宝篋山

宝篋山の麓町となる小田には、三村寺域での殺生禁断令を示した三村山不殺生界碑が残されており、銘から建長五年(1253)9月11日に建立されたことがわかっています。またこれは結界石でもある可能性が高く、戒律を訓示すると同時に寺域を示しているものと思われます。

三村山不殺生界碑

コース概要


それでは、ハイキングコースに向かうちょっとその前に、驚いたことに、この日は日曜日ではあったものの、駐車場のある小田休憩所に8時半に到着したのに、70台も停められる駐車場が満車という状態でした。「極楽寺跡がそんな人気ある訳ないじゃん」と首を傾げながら少し離れた臨時駐車場に車を停めに行きましたが、下案内図を見てもわかるように、宝篋山は極楽寺があった旧跡というより、多様なハイキングコースを楽しめるちょっとした人気のトレッキング・エリアだということが現地でわかりました。

宝篋山ハイキングコース 現地案内板
参照URL:つくば市宝篋山トレッキングマップ PDF1PDF2

そこで今回は、王道の極楽寺コース(3km・105分)で頂部に向かい、小田不動尊に寄りたかったのと、城郭も見れたらいいなと思い、小田城コース(3.2km・80分)で下山するという選択をしました。

宝篋山ハイキングコース


それでは、標高461mの宝篋山ハイキングに向かいます。スタート地点となる小田休憩所から山を登るまで少し歩きます。周囲一帯は水田となっていて緑だらけの景色にいきなり癒されます。

見渡す限り緑!その向こうに宝篋山

しばらくして現れたのが、正応二年(1289)11月10日に造立された石造地蔵菩薩立像です。像高157.5cmで別名を湯地蔵と云い、安産と乳が出ると信仰されていました。鎌倉時代の石像仏の割には姿形がはっきりしていると思ったら、石材は花崗岩とのこと。また檀那として小田氏の左衛門尉と刻まれているので、四代時知か五代宗知と推定されています。それにしても名前が凄いですね、時知の時は北条氏、そして宗知の宗はまさかの将軍家から頂いた一字でしょうか。ちなみに小田氏はのちに有力大名の証しとなる関東八屋形に列しています。

石造地蔵菩薩立像

そして意外にも未だあぜ道のようなハイキングコースが続きます。でも周囲は緑だらけで気持ちいいので別に文句はありません。

宝篋山を仰ぎながら田園地帯をしばらく歩く

さぁようやく山に入るぞ!というところで、現地案内板がありました。なんでも極楽寺は大寺院で、山腹には薬師堂、山裾には僧堂や尼寺などが建ち並ぶ壮観な景色が拡がっていたのであろうといった旨が記されていました。ということはこれまで歩いてきた水田地帯が極楽寺跡なのかもしれません。どこにどういう風に伽藍が建ち並んでいたのかはわかりませんが、周囲に散在している石造物が往時の極楽寺を偲ばせるようでした。

極楽寺跡
極楽寺に関する造作かもしれない怪しい箇所

山に入っていくと今度は276.5cmもあるこちらも花崗岩で作られた立派な五輪塔が現れます。鎌倉時代後期の西大寺系石工による作品とありました。西大寺系石工、つまり忍性が大和国から連れてきた石工集団・大蔵派を指しています。確かに、浄光明寺裏山にある覚賢塔にも雰囲気が似ているような気がします。ちなみに、宝篋山及び筑波山系は、上部が斑レイ岩、下部が花崗岩で構成されています。ですから地産の石というか、それどころか、裏山で調達した石でこのような立派な石塔を作ることができるようです。

五輪塔 
ハイキングコース沿いに散在する石塔残欠

そしてハイキングはいよいよ山登りとなります。川の流れる沢に沿ってしばらく登って行く素敵な雰囲気です。また山岳信仰のあった山によくみられる巨石・岩石がゴロゴロしている様相が雰囲気を盛り上げてくれます。

宝篋山極楽寺コース
宝篋山極楽寺コース
宝篋山極楽寺コース
宝篋山極楽寺コース

沢を抜けると一時的に勾配が急になり、頂部が近づいてきた感じがすると、土塁跡や空堀跡などが現れます。当時はこんな標高の高い場所でも城郭を施していたようです。でもここまで来たらそれはもう詰めの城ですね。

空堀跡

しばらくして頂部に到着!浅間社が祀られていて、さらに忍性の像まであります。

宝篋山頂部

頂部にはこれまた立派な宝篋印塔がありました。鎌倉時代中期もしくは文永年間(1264~1274年)頃に造立されたと考えられています。もちろん極楽寺と関係のあるものでしょう。一説には関東最古とも云われています。

宝篋印塔と何気に筑波山

頂部からパノラマで周囲を見渡せます。天気が良ければ富士山も見えるとありましたが、天気は良かったもののちょっと霞んでいたのであまり遠くまでは見えませんでした。その他にも霞ケ浦なんかも見えるそうです。

宝篋山頂部

それにしても、筑波山の存在感が半端ありません。ちょ~カッコいいです。あの双峰の独特な山容と雰囲気、古代から崇められてきた神体山だったのであろうオーラが伝わってきます。

宝篋山頂部からの筑波山

それでは、極楽寺の遺跡と景色を堪能できたので今度は小田城コースで下山します。小田城コースという名からも、尾根道が城郭に見えてきます。掘割道で鋭角な峠坂状態が続いていました。

宝篋山・小田城コース

しばらくして下浅間社が現れます。頂部より標高が低くなっているので町の景色が少しだけ近づきます。それからここにも変わった巨石・岩石があります。

下浅間社
下浅間社からの景色
下浅間社付近の岩石

極楽寺コースから頂部までは人で賑わっていましたが、こちら小田城コースは人もまばらになります。途中に尾根道が土塁状というか土橋状になっている箇所がありました。葉山の畠山陣地で見た造作と似ています。しかしこれが城郭なのかもしくは何の造作なのかが未だによくわかりません。

小田城コースの土塁状もしくは土橋状尾根道

小田城コースもだいぶ標高が低くなってきたところ、源氏山葛原岡にある大堀切のような地形が現れました。ハイキングマップにこの辺りを「中世城の道」と記されてあるので何か城郭に関連するのかもしれません。小田不動尊に行くにはこの大堀切のような地形を下りて行くようです。中世城の道も魅力ですが、ここは小田不動尊を選択することにしました。

小田城コース 
直進すると中世城の道 右に下りると小田不動尊

この道を通るハイカーなど誰もいないだろうというような道を下りて行くとありました小田不動尊。

小田不動尊

ここにはなんと12世紀前半に造立されたという摩崖仏の不動明王立像があるそうです。どちらにいらっしゃるのかとお堂を覗いても何もないのではてさてと悩むことしばし、目に入ったのが6mぐらいはある垂直切岸の崖に御簾がかけられている部分でした。あそこで間違いないでしょう。中世城の道を諦めて来たのに見せてくれないのかとガックリきていたところ、よ~く見ると鎖が垂れ下がっていることに気付きました。思いきって登ってみることに(笑)。

摩崖不動明王立像・・

鎖を頼りに崖を登り御簾を開けるといらっしゃいました!摩崖不動明王立像です。12世紀前半の造立だけあって詳細な様子まではうかがえませんが、仏さまを表していることはぐらいは伝わってきます。ちなみに等身大です。

摩崖不動明王立像

最後にアトラクション付きの史跡めぐりというなかなか面白い体験ができました。ここまで来ると国道がすぐ近くなので下山することにしました。八幡社が近くにありますがそちらもハイキングコース登頂路になっているようです。

小田不動尊を下りてきたところ

ということで、三村山極楽寺跡・宝篋山ハイキングコースでした。上記したように、コースはいくつもあってしかもコースにアクセスできる登頂路もかなりあるようです。ですからそれらコースを組み変えれば何度も楽しめるという魅力もあるのでしょう、そりゃ駐車場も満車になるはずです。このあと、小田城下町や近隣の史跡を見てまわる予定でしたが、山頂で見た筑波山のあまりにも素敵な山容に惹かれ、筑波山に行くことしました。

基本情報

名称 :宝篋山
住所 :〒300-4214 茨城県つくば市山口
駐車場:有り

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