2018年4月19日木曜日

大磯の横穴古墳


大磯の丘陵ではこれまでに605基の古墳時代末期横穴墓が確認されています。また現在埋没しているものを考慮すると、なんと、1000基近い数が大磯に存在すると想定されています。大磯町編『おおいその歴史』には「大磯丘陵はわが国最大の横穴墓密集地域」だとありました。

Google map 大磯
①釜口古墳 ②楊谷寺横穴群 ③谷戸観音 ④庄ヶ久保横穴群 ⑤城山横穴群

上記したように605基の横穴墓が確認されたとありましたが、その割には一般的に知られている、もしくは公開されているものはごく僅かです。そこで今回の記事では安全に見学できるところだけを紹介します。また詳細な位置を知りたい方は、最下部にグーグルマップがあるのでそちらで確認してください。


横穴墓と古墳


古墳時代末期横穴墓は6世紀から7世紀にかけて営まれた在地有力者の埋葬施設です。玄室を土で盛った古墳(高塚古墳)も大よそ横穴墓とほぼ同じ時期に営まれています。この古墳と横穴墓にそれぞれ葬られた被葬者の違いは、組織の違い、もしくは横穴墓に埋葬された集団を統括していた首長が古墳に埋葬されたとも考えられています。

釜口古墳

大磯は砂丘上の古墳が多くまた農地に適した土地が少なかったため、古墳の多くが既に破壊されたのではないかと云われています。現存しているもので有名なのが釜口古墳です。切石乱層積みに巨大な一枚岩の天井石で構築された横穴式石室となっており、周辺の横穴墓や出土遺物から7世紀中頃の築造と考えられています。


楊谷寺谷戸横穴墓群


それでは、まずは鎌倉で”やぐら”を見るなら百八やぐら群と云われるように、大磯で古墳時代末期横穴墓を見るならここ楊谷寺横穴群(正確には楊谷寺谷戸横穴墓群)でしょう。高麗山公園内にあり、ハイキングと一緒に楽しめます。但し、イノシシ出没注意という看板があるので気を付けてください。

楊谷寺横穴墓

鎌倉地方にしか存在しない中世の横穴墓”やぐら”と違い、古墳時代末期横穴墓は全国展開しているので、地方・地域によって形状がそれぞれ異なるようです。大磯に分布する横穴墓の特徴として、羨道のないものが多いと云われています。

楊谷寺横穴墓

楊谷寺横穴群では、多様な形状を観察することができます。アーチ型・ドーム型、またそのアーチ・ドームのハーフ、そして家形(切妻)など様々です。大よそ100年の間、この谷が墓場として活用されてきたため、形状の変遷を確認することができます。

楊谷寺横穴墓
楊谷寺横穴墓

下画像の横穴は”やぐら”と同じく玄室部分に扉があった形跡がみられます。

楊谷寺横穴墓

楊谷寺横穴群に二回訪れましたが、何度来ても顔に見えるアングル。埴輪でこんな顔ありますよね。

楊谷寺横穴墓の埴輪アングル


谷戸観音


楊谷寺横穴群から西に向かった大町の奥にあるのが谷戸観音です。大磯町オフィシャル情報によると、寛永六年(1629) にこの地を襲った大水害の供養のため、古墳時代の横穴墓を改変し、十一面観音像を祀ったとありました。また、この地は吾妻鏡にも記されている新(真)楽寺があった場所でもあるそうです。周囲は農耕地なので”ほのぼの感”が半端ありません。道沿いに馬頭観音があったので昔から農耕地だったのでしょう。

谷戸観音の辺り
谷戸観音
谷戸観音

風化のため玄室が剥き出しになっており、その玄室の奥壁に穴を開け奥に空間を設けているようです。形状や細かい造作などからして”やぐら”にしか見えません。オフィシャル情報に「古墳時代の横穴墓を改変したもの」という記述がなければ”やぐら”として紹介していたでしょう。ここまで改変されているものも珍しく、ある意味貴重な横穴かもしれません。

谷戸観音

付近に曽我兄弟五郎の力石なるものがありました。神社によくありますよね、力石。それにしても、土地柄的に”曽我兄弟の何々”としたい気持ちはわかりますけが、ここは思いきって虎御前の漬物石とかで良かったんじゃないですかね。

曽我兄弟五郎の力石


庄ヶ久保横穴群


谷戸観音のお隣の谷にあるのが庄ヶ久保横穴群です。心地良い壮大なカーブの先でファミマのある交差点を山側に登って行くとあります。どうしてこんなに心地良いのかと思ったら、向こうに二子山などの箱根山系の山々が見えるからなんですね。

大磯運動公園の近く

それでは、庄ヶ久保横穴群です。こちらでは何と言っても、線刻画が残された横穴があります。但し造営当時からのものなのかは不明です。

線刻画のある横穴
線刻画アップ! ・・なんか笑える

こちら下画像の横穴は高棺座タイプの棺座部分が極端に小さくなっているものです。ここまで小さいものを初めて見ました。もちろん何かしらの意図があってのことでしょうが、なんでしょうねコレ。こちらの横穴群、6基程度の群集なのに個人的に初めて見るタイプのものが2つもありました。

小さい高棺座タイプ?


城山横穴群


最後に、吉田茂邸や三井財閥別邸があったことでも知られる大磯城山公園です。こちらの横穴群では特筆すべきものはありません。また後世にて改変されているものが多かったように思えます。さらに、柵を設け玄室内に入ることを禁じています。したがって物件としてあまり魅力がないので、城山公園に訪れたついでにといった感覚で行くべきでしょう。

城山横穴群
城山横穴群
城山横穴群

ということで、大磯の主な古墳時代末期横穴墓を紹介しました。一番のお勧めはやっぱり楊谷寺横穴群です。色んな形状を見ることができますし、そのまま山を登ると湘南平からの絶景パノラマ景色を望むことができます。

湘南平からの相模湾の眺め



カテゴリー 探索記事(エリア別 大磯
記事作成  2018年4月19日

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