米子大瀑布・米子鉱山
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米子大瀑布・米子鉱山 |
長野県須坂市にある米子大瀑布に行ってきました。1kmに渡る断崖絶壁に落差80mの滝が流れるとんでもないスケールの大自然でハイキングと鉱山跡の見学をしてきました。しかも柱状節理の滝で山岳信仰の山でもあるんです。
基本情報
名称 :米子大瀑布
住所 :長野県須坂市米子 米子山
所要時間① :東京駅から長野駅まで北陸新幹線「かがやき」で1時間20分
所要時間② :長野駅からレンタカーで1時間30分
概要(オフィシャル情報参照)
コース名 :米子大瀑布ハイキングコース
最低標高点:1300m
最高標高点:1450m
距離 :3km
所要時間 :2時間10分
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国土地理院地図 |
米子鉱山は、上信越火山帯に属する四阿山・根子岳・浦倉山などで構成される四阿火山によって形成されたカルデラ内にあります。
このカルデラから流れ出た米子川の上流では溶岩層が削られ断崖絶壁となり大瀑布と呼ばれる景観が形成されました。また溶岩流と火山砕屑岩の互層からなる米子溶岩が堆積し硫黄鉱床が生成されています。
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米子大瀑布 |
米子大瀑布へ
長野駅に到着。初めて北陸新幹線を利用しましたが、東京駅を出発して上野→大宮→長野で到着はウケました。長野に向かう身としては有難いのですが、「端折りすぎじゃね」と余計な心配をしてしまいます。早速レンタカーを借りて米子大瀑布を目指します。
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長野駅 |
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山が見える景色 |
駅を少し離れただけで山が見えるって素敵ですね。そして思ったより林道区間が長くて驚きましたが、なんとか到着。駐車場には2台しか停められていません。ちなみに駐車場に到着した時点で標高大よそ1300mとのこと。大山より高い。
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駐車場付近からの景色 |
周囲は既に壮大な雰囲気。この日の長野地方は早朝まで雨が降っていたそうなので、雲・霧などが余計に景色の雰囲気を盛り上げてくれます。
米子鉱山と山岳信仰
ハイキングに出かける前に、ここ米子大瀑布・米子鉱山についてちょっと勉強してみましょう。
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昭和15年(1940)の米子鉱山 |
『続日本紀』(和銅年6年・713)に「信濃の国をして石硫黄を献ぜしむ」との記述がみられます。これが米子鉱山かどうか定かではありませんが、信濃地方が古代から硫黄産地として周知されていたことがわかります。確実なところでは、享保年間(1716~1735)に、米子村が幕府に良質な硫黄を納めたことがわかっているので、少なくとも江戸期から米子鉱山が稼働していたようです。
その後、明治時代に事業が本格化し、昭和9年(1934)に鉱山は最盛期を迎えます。当時の従業員とその家族は1500人にも達し、集落には診療所・共同浴場・学校などが備えられていました。その後、事業の不採算化により昭和35年(1960)に閉山となりました。
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米子鉱山跡の説明版 |
このように米子山では、鉱山・大瀑布・カルデラと、修験者が好む絶好の条件が折り重なっていることから、古くから山岳信仰の聖地ともなっていました。養老2年(718)に白山信仰の浄定がこの地を開いたとされ、あの行基もこの地に訪れ、堂宇を建立し、一字金輪仏頂尊(大日金輪)を本尊として安置したと伝えられています。それにしても行基さん、首都圏でもあなたの名前をよく聞きますが、鉱物があるとどこにでも顔を出すんですね・・。
米子大瀑布ハイキング
それでは、ハイキングに向かいます。3km大よそ2時間のコースが設定されています。
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現地案内板 |
入口からいきなり熊注意の看板があるので、ここ最近のニュースからも少し不安になりますが、進むといきなり、「ここまで赤い川は見たことがない」ってくらいの真っ赤な川に出迎えられました。もうすっかり熊とか忘れるレベルの色。
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真っ赤な川 |
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米子大瀑布ハイキング |
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巨石 |
緑がキレイで素敵なハイキングコースを進んでいるとありました、巨石。修験道の山には必須アイテム。そしてぼちぼち不動滝が見えてきました。この辺りから微かに硫黄のような匂いがします。
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不動滝 |
米子不動尊奥の院に到着。無住の建物があるだけですが、周辺には祠が散在しており、かすかに山岳信仰の名残りを感じることができます。また奥の院といえど、元々はこちらが本寺で麓にある不動寺が後に建立されたそうです。さらに、上杉謙信から不動明王立像が寄進されたとのこと。凄い!長野まで来ると上杉謙信が普通に史跡の由縁に登場するんですね。
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米子不動尊 |
そしてハイキングコースに戻らずこの不動尊の奥に行くと不動滝を真近で見ることができます。
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不動滝を真下から |
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柱状節理 |
たぶん画像では伝わらないと思いますが、凄い迫力。水しぶき。そして皆さんは大して興味ないとは思いますが、柱状節理も見えます。凄い。それではお次は権現滝へ。こちらは近くで観察できないようです。
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権現滝 |
それではハイキングコースに戻って先へ進みます。この辺りが折り返し地点でしょうか、次は鉱山跡エリアとなります。索道の跡がみられます。
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鉱山索道跡 |
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索道越しの権現滝 |
さて鉱山跡の平場に到着しました。本来はここから先ほどの不動滝・権現滝のある丘陵を眺めることができる絶好のスポットなのですが、とんでもない霧が発生して何も見えません。ここで少し鉱山跡の見学をするので、その間に晴れると思います。下界の長野市街地は晴れてるんですけどね、こちらの標高が高いからでしょうか。
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絶好スポットからの景色・・・ |
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長野市街地は晴れてる |
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山の神 |
鉱山関係者の神社でしょう、山の神が祀られています。この辺りから奥に入って硫黄鉱石(自然硫黄)を探してみたいと思います。
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ズリ |
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自然硫黄 |
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自然硫黄 |
丘陵壁面にズリと思われる場所を見つけると、ありました自然硫黄。かつては黄色いダイヤと呼ばれた鉱石です。硫黄は主に火薬の原料とされていましたが、現地で納得できました。既に火薬のような匂いがします。
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別のズリ 行き止り |
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またまた別のズリ |
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登ってみたがさすがに命の危険を感じて退散 |
憧れの黄色いダイヤを確認できたので、次は坑口も見れたら最高だなぁということで探してみました。とんでもない高さに積み上げられたズリが数か所確認できます。丘陵の上に坑口があるのは確かなようなので、登ってみましたがそのまま上に行くことはできませんでした。残念。と、そんなことをしているうちになんだかんだと霧が晴れたようです。
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鉱山跡平場からの景色 |
無事に不動滝と権現滝の両方を眺めることができました。そしてここから奇妙山の方へ向かうと奇妙滝があるそうなので向かってみます。
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奇妙滝 |
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奇妙滝 |
またまた凄いことになっています。自然の力だけでここまで赤くなれるのかと驚きます。ちなみにこれは、米子の場合、地中の硫黄が硫酸を生成し川の水を酸性にしてしまうことから、鉱床に含まれる鉄や金属が解けて赤くなるそうです。
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奇妙滝 |
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奇妙滝 |
奇妙滝も柱状節理、もしくは柱状節理気味。さらに隣に人工的で大々的な掘削跡があるので、この上も抗口だったようです。規模が大きすぎ。それでは、ちょっと疲れたのでそろそろ帰ろうと思います。楽しかったです。
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抗口・・・ |
駐車場から車を走らせると抗口が見えることに気付きました。周辺は断崖絶壁なのでそもそも辿り着けなさそうです。しかし米子鉱山の抗口はいくつもあるようなので、たぶんですが、方向的には浦倉山方面に向かってハイキングコースを外れて回り込めば行けるような気がします。一回現地に来ないとこういう地理感はつかめないですよね。また来る機会があれば。
憧れの黄色いダイヤのはずが・・・
さて、少し前に伊豆の浄蓮鉱山で野生の水晶を確認できたので、次は野生のアメジストか自然硫黄を見てみたいと思っていました。今日はその希望が叶ってとても満足です。がしかし、この憧れの黄色いダイヤ、見た目はキレイでミカンみたいで美味しそうじゃないですか、でも匂います。臭いです。硫化水素を含む毒物です。気分が悪くなります。
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自然硫黄 |
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自然硫黄 |
※注意①
米子大瀑布は国立公園なので、石・植物などを持ち帰る等の行為は原則禁止されていると思われます。
※注意②
米子大瀑布は紅葉シーズンの土日祝日ではマイカー規制があります。指定の場所から有料シャトルバスを利用する必要があります。
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