伊豆の神社・神域・ジオパーク・鉱石めぐりの旅 |
伊豆の神社・神域・ジオパーク・鉱石めぐりの旅
正月休みを伊豆で過ごしてきました。ちょっと記事にするのが遅れましたが今回はその行程をダイジェストでお伝えしようと思います。向かった先は伊豆半島の東と南にあるキノミヤ信仰や漂着神をテーマとした神社・神域・ジオパークです。その他にも下田市では初めての鉱石採集、そして熱海では正月から桜を見ることができたりと、ちょっと予想外の経験もありました。
伊豆の歴史はジオパークなどの地質遺産も絡めないと理解が進まないでしょう。何故なら伊豆という今も昔も一地方に過ぎなかった地域に式内社が多いのは、伊豆諸島の噴火が関係しているからなんですね。
伊豆の思い出 |
概要
品川から熱海まで新幹線で移動。熱海駅からはレンタカーで南伊豆方面に向かいました。今回は、というか今回も熱海に宿を取ったので、熱海から南伊豆方面に向かいまた熱海に戻ってくるというスケジュールを繰り返しました。それなら「下田辺りで宿を取れば良かったのでは」とツッコまれそうですが、熱海が好きで熱海にお気に入りのホテルがあるので仕方ありません。白田の来宮神社【志理太乎宜神社】
今回最初に向かった先は志理太乎宜(しりたおぎ)神社です。志理太乎宜神社の祭神である志理太乎宜命は三嶋大明神の妃・佐伎多麻比咩命の子です。これはキノミヤ信仰を探求する者からするととても興味深いことなのです。何故なら志理太乎宜神社は来宮神社でもあるからです。佐伎多麻比咩命は三宅島の人なので子の志理太乎宜命も三宅島出身かと思われます。来宮各社に共通する縁起にある「海の彼方からやって来た」何者かが一体誰なのかはよくわかっていませんが、志理太乎宜神社においては三宅島からやって来た志理太乎宜命であることが確定してしまいます。ここでは深掘りは避けますが、とにかく志理太乎宜神社はキノミヤ信仰の謎を解くうえでとんでもないヒントを包括した史跡なのかもしれません。
志理太乎宜神社 |
志理太乎宜神社 |
志理太乎宜神社 |
もうお正月だというのに紅葉シーズンのような見事な景観のイチョウの木がありました。と同時に紅葉シーズンが遅れる程の伊豆半島の暖かさを肌と目で実感しました。神社碑によれば社殿横のイチョウの木は樹齢300年とのこと。そして社殿の背後には樹齢1000年を超える老樹が昭和初期まであったそうです。まさに来宮神社。
伊古奈比咩命神社(白濱神社)
伊古奈比咩命神社(白濱神社)は二回目の訪問です。初詣は熱海来宮神社とここ白濱神社に行きたいと考えていたほど個人的なお気に入りです。白濱神社の主祭神はこれまた三嶋大明神の妃である伊古奈比咩命で賀茂族出身の女性です。ここは三嶋大社の旧在地であり、また裏山では古代祭祀場跡(火達山遺跡)が発見されています。伊豆の歴史を集約したかのような凄い史跡・神域です。
伊古奈比咩命神社(白濱神社) |
伊古奈比咩命神社(白濱神社) |
伊古奈比咩命神社(白濱神社) |
伊古奈比咩命神社(白濱神社)から見た利島 |
祭祀遺跡の島【恵比寿島(夷子島遺跡)】
下田にある恵比寿島ではこちらも白濱神社同様に古代祭祀場跡が発見されています(夷子島遺跡)。頂部でかがり火を焚いた痕跡が複数確認されているので何かしらの儀式・祈祷が古代から行われていたようです。また海底火山の地層を間近で見学できることもこの島の特徴の一つです。
恵比寿島 |
恵比寿島から見える神子元島 |
恵比寿島 |
八幡野来宮神社の旧在地【堂ノ穴】
八幡野海岸に八幡野来宮神社の旧在地があります。見てのとおり元々は海蝕洞穴に祀られていたようです。横穴マニアも納得の史跡・遺跡でした。しとどの窟、もしくは三浦半島の権現洞穴のような感じです。最近は横穴を見ることがなかったのでちょっと感動でした。
そして何と言っても、本宮熱海来宮の縁起にもあるように、来宮系列の神さまは元は海岸に祀られていたものが内陸へと遷座する傾向がみられます。その証拠がここに残されています。こちらもキノミヤ信仰の謎を解き明かす重要な史跡の一つでしょう。
堂ノ穴 |
最近は鉱石にも興味が出てきたので八幡野海岸で記念に一つ拾ってきました。何ていう種類のものかはわかりませんが、クリスマスに出回るドイツのお菓子・シュトーレンに似ていたので気に入りました。よ~く見ると貝の化石なんかも付着していてお得感もあります。
八幡野海岸で見つけた石 |
八幡野海岸 |
吉佐美の神奈備山【三倉山】
以前に吉佐美の八幡神社に訪れた際、吉佐美に神奈備山があると知ったのが、帰ってからのことでした。そして今回、その念願の吉佐美の神奈備山、その名も三倉山に訪れてみました。車で走行中に遠目からも「あっ!絶対あの山じゃん(笑)」とわかるほどの見事な山容でした。
「あっ!絶対あの山じゃん(笑)」と気付いた瞬間 |
こちらの三倉山周辺では古代祭祀場跡が発見されています。山頂部などではなくその山を拝する場所で祭祀場が発見されるのは神奈備山の定石です。ですから山中に何か遺跡がある訳ではありませんが、神奈備山マニアとしては入山せずにはいられなかったのでちょっと寄ってみました。
三倉山 |
三倉山 |
三倉山 |
三倉山 |
三倉山 |
山の中は意外にも開発及び整備されており「登山道」という案内板まであったので、ハイキングとしても利用できるようです。そして驚いたのが、とてもキレイな鉱石が採れます。金鉱石のようにキラキラした水晶のようなものが付着した石がたくさんありました。なんなんでしょうか、神の山だからでしょうか。
三倉山で採れた鉱石 |
究極の岩屋神社【石室神社】
伊豆半島の南端にある石廊崎・石室神社に訪れました。こちらは一般の観光スポットとしても有名ですが、横穴マニアなら一度は訪れたい岩屋形式の神社です。行って損はありません。がしかし、正直言うと、横穴の岩屋形式といっても、どちらかというと岸壁に張り付いた神社という感じは否めません。平泉の達谷窟を思い出す感じです。あの史跡も「岩屋っていうか・・」と感じたところが一緒でした。
石室神社 |
石廊崎の突端 |
石廊崎から見えた鬼ヶ島を具現化したかのような景色 |
尾ヶ崎からの島の景色
下田市白浜が近づくと国道沿いにあるのが尾ヶ崎ウイングというPA。熱海からだと初島や伊豆大島ぐらいしか目視できませんが、ここからだと伊豆諸島の大よそを眺めることができます。この日は残念ながら雲が多かったのですが、それが逆にイイ感じの雰囲気を醸し出してくれました。そしてたぶんこれはブーケンビリアでしょうか。こんな時期でも咲いてるって・・伊豆半島ってホント暖かいんですね。
尾ヶ崎ウイングからの景色 |
尾ヶ崎ウイングからの景色 |
尾ヶ崎ウイングからの景色 |
熱海桜と熱海の何気ない景色
それでは、熱海の何気ない景色をお届けします。特筆すべきは正月シーズンから桜を見れたことでしょうか。南豆のブーケンビリアといい、驚きを通り越して微笑んでしまいます。
熱海桜 |
熱海桜 |
熱海桜 |
熱海の夜の雰囲気も凄い良いです。東京のような”雑踏感”がなく静かなので川の流れる音だけが聴こえてきたりとか。
熱海来宮神社 |
熱海来宮神社 |
熱海来宮神社 |
熱海城が浮かんでいるかのように見える熱海市街地の夜景 |
異世界に繋がる熱海の坂道 |
熱海銀座 |
ところで、湯けむりって良いですよね。温泉街に来てることを改めて実感させてくれます。ハイキングをすると生きてることを改めて実感できるみたいな感じ。
湯前神社 |
熱海市街地の湯けむり |
熱海市街地の湯けむり |
熱海市街地の湯けむり |
熱海市街地の湯けむり |
熱海市街地の湯けむり |
糸川の遊歩道にも行ってみたところ、やっぱり咲いてました、ブーケンビリア。そして鉱石に興味がわいてきたこともあって、糸川で石を集めてみました。熱海だけあって色んな石がありました。何ていう石なのかはわからないんですけどね。
糸川 |
糸川で集めた石 |
熱海港からの景色 初島 |
熱海港からの景色 真鶴の三ツ石 |
あとがき
ということで、伊豆での滞在を簡単にお伝えしました。この記事を作成している時点でさらにまた伊豆に向かっているので、また近いうちにまとめたいと思います。
伊豆は半島各地にある漂着神の謎という興味深いテーマだけにとどまらず、ジオパーク、そして金鉱石が眠っているというロマンもあります。興味が尽きません。伊豆の旅は鎌倉遺構探索本来のメインテーマから少し外れているように思われるかもしれませんが、歴史って色んな時代を色んな角度からみることによって歴史家としての考察力が培われるていくのだと思います。今はまた鎌倉遺構探索のメインテーマに戻ったときのための必要な寄り道を楽しみたいと思います。
2023年のお神札は熱海来宮神社 |
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