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埼玉県比企郡【吉見町】の中央構造線と珪化岩・沸石

2025/10/16

鉱山 埼玉 寺院 神社

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埼玉県比企郡【吉見町】の中央構造線と珪化岩・沸石

吉見町
埼玉県比企郡吉見町に史跡めぐりへ行こうとしたところ、吉見町に中央構造線が通っていること、さらに鉱石マニアに有名な露頭があることなどの情報を事前に得たので、史跡めぐりと併せて向かうことにしました。ということで、今回の記事では、吉見町の一部の史跡と絡めて吉見町の地質・鉱物に焦点を当ててみました。

基本情報

名称    :埼玉県比企郡吉見町
所要時間  :東京都心から車で大よそ1時間30分

吉見町の中央構造線

「吉見町に中央構造線が通っているの?」という方は、ここでは詳細な説明が難しいのでこちら『東西日本の地質学的境界【第四話】 関東平野下の地帯配列』をご覧ください。そして下画像は大鹿村中央構造線博物館さんの『中央構造線マップ』から頂きました。
Google map 吉見町
吉見町を通る中央構造線は、画像を斜めに横切る青の線です。吉見町は西側が丘陵部(吉見丘陵)、東側が沖積地となっています。中央構造線はその境目を通っています。今回、地質・鉱石と併せて紹介する史跡はほぼ西側の吉見丘陵内にあります。「いや普通に史跡の紹介でいいよ」と言う方は下画像をクリックしてください。

埼玉県比企郡【吉見町】で史跡めぐり

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中央構造線の影響はあるのか

中央構造線というこの神秘的な響き、中央構造線沿い、もしくはその付近において貴重な鉱石が産出する可能性は高くなるのではないかと考えてしまいますよね。結論から言うと、中央構造線の影響は多少なりともあるかもしれませんが、だからといって鉱石が産出しやすいという訳ではなく、中央構造線周辺の特定の条件が重なった地域で鉱石ができやすいと考えるのが妥当なようです。まとめると以下のようになります。

地質構造   :大断層により岩石・温度・圧力の変化が大きい
鉱床形成   :熱水やマグマが上昇しやすく、鉱脈ができる可能性あり
実際の産地  :中央構造線“周辺”に銅・金・鉛などの鉱山が点在
結論     :鉱石ができやすい素地はあるが、場所によって大きく異なる

吉見町の鉱物ポテンシャル 【珪化・沸石化】

吉見町は、関東平野の北西端、秩父山地の東縁部に接する位置にあります。つまり、西は古い秩父帯(中生代の堆積岩・変成岩帯)、東は関東平野の第四紀層(比較的新しい堆積物)という、地質の境界付近となります。この境界地帯は、断層や変質帯が多く、鉱物が集まりやすい環境でもあると言えます。チャート・珪質岩・熱水起源の石英脈片・凝灰質砂岩・石灰岩などの混在地層が露出する特徴がみられます。

地質帯   ;秩父帯と関東平野の境界部にあたる
主な鉱石  ;チャート、珪質岩、熱水起源の石英脈片 
結論    ;混在地層が露出する地質 

吉見観音の珪化岩・銅鉱山

吉見町は、上記したように、古生層と中新世堆積岩の境目にあたります。この境界では、プレート運動や地殻変動によって圧力・熱がかかりやすく、変成作用が局所的に起こります。そのため、一部の泥岩・砂岩が弱い熱変成(接触変成)を受けてホルンフェルス化熱水の影響で珪化・沸石化(ゼオライト化)が進行する現象が確認されています。実際にも吉見町では、普通に当たり前のようにその珪化岩が辺りに転がっています。
吉見観音・御所周辺に普通に落ちている珪化岩
吉見観音・御所周辺に​普通に落ちている珪化岩
上画像の、素人が見た限り石英かと思ってしまうこの白い塊、吉見町では珪化岩(けいかがん)である可能性が高くなります。正確には石英脈を伴う珪化岩。また御所にある吉見観音(岩殿山安楽寺)の裏山では、岩殿鉱山といって銅鉱山として稼働していた時代がありました。上記したように「中央構造線“周辺”に銅・金・鉛などの鉱山が点在」するとあります。中央構造線の影響が多少なりともあるのかもしれませんね。
吉見観音

高負根彦神社とポンポン山の謎

吉見町にある式内社・高負根彦神社には、磐座と思われる巨大な岩塊があります。現地案内板に「社殿後方の巨石付近の地面を踏むとポンポンと音が鳴るのでポンポン山となった」とあります。神秘的な事象だと話を終わらせればそれまでですが、これは一体どういうことなのでしょう。
高負根彦神社玉鉾山(ポンポン山)
高負根彦神社の巨石
高負彦根神社周辺(吉見町北部)は、地質的に見ると比企丘陵北縁から吉見丘陵西端にあたる位置となり、秩父帯のチャートや泥質岩・砂岩などの古生層が地表に露出しているエリアとなります。したがってこの岩石は、風化によって褐鉄色を呈するチャート(または珪質頁岩の変質部)である可能性が高いと考えられます。

高負根彦神社のポンポン現象は、地中に空洞(割れ目や風化した層)があって、岩盤が空洞の上で共鳴するために起きる現象です。つまり、地表の硬いチャート質岩盤の下に空洞や風化層が存在し、人が跳ねることで岩盤が振動して空洞内の空気が共鳴する現象です。
高負根彦神社境内の石英脈を伴う珪化岩
高負根彦神社境内の石英脈を伴う珪化岩
高負根彦神社境内にもまたまた白い塊のある石がたくさん散らばっています。こちらも珪化岩と表現してもいいのですが、石英脈を伴う珪化岩とする方が丁寧な言い回しとなります。神社の景石なので他所から運び込まれた可能性もありますが、吉見町のキーワードである珪化岩であるため、他所だとしても吉見町内、もしくは周辺からの搬入ではないかと思われます。

伊波比神社と岩崎神社の謎

次も同じく式内社の伊波比神社ですが、地質というより若干地形の話題になります。伊波比神社では摂社として隣に岩崎神社が祀られていました。伊波比神社は丘陵の崖裾に立地していたので、それであれば、岩崎=(岩の先端)神社の方がこの地に相応しいと現地で感じました。また伊波比は=岩井(岩+井戸)なので、岩の隙間から水が流れ出すようなイメージが涌いてきます。
国土地理院地図
崖裾の〇印が伊波比神社 地形的には岩崎神社
そこで調べてみるとビックリ、伊波比神社は元は八幡台という場所から現在地に移転してきたことがわかりました。その八幡台という場所が厳密にはわからないのですが、ともかくここより西寄りの現在地付近であるそうなので八丁湖周辺となります。まさに岩井という、岩の隙間から水が涌くような場所があったのであろうと想像が搔き立てられます。

ですから伊波比神社は本当に岩井という水源の地霊であった可能性が高く、一方で岩崎神社も地形に因む地霊として元々この地に鎮座していましたが、伊波比神社の移転によって主座を奪われたのだと考えられます。
伊波比神社 右の赤い鳥居に岩崎神社
地質学的には、岩井(湧水地・沢の出口など)は透水層と不透水層の境界で断層沿いによくみられ、また岩崎(崖裾・崖縁など)は硬い岩(チャート・珪化岩)が侵食抵抗性を示す場所です。まさにこの下に中央構造線が通っているので断層沿い、吉見町で生成されやすい珪化岩と、全くもって合致します。このように地形・地質から史跡の過去や素性を読み取れる場合もあるのだと感心してしまったというお話です。
伊波比神社

沸石

それでは、こちらは吉見丘陵にある沸石を確認できる露頭です。鉱石マニアの間では知る人ぞ知る有名なポイントのようです。
珪化岩の露頭
こちらは珪化岩と言ってもいいのですが、丁寧に言うと、凝灰質泥岩の珪化帯、もしくは断定を避けるための表現として、「中新世の堆積岩(主に泥岩・凝灰質砂岩)に熱水変質を受けた珪化帯(珪化岩)、または凝灰岩起源の変質岩」とします。そしてこちらでは沸石を余すことなく思う存分観察することができます。
ザラメ水晶ならぬザラメ沸石
沸石
沸石
沸石
沸石
沸石は、主に火山灰やガラス質物質が熱水と反応してできる鉱物群です(モルデン沸石、クリノプチロル沸石、輝沸石など)。つまり、古い堆積岩中に火山灰層が混ざっていたその後、熱水や温泉成分が流れ込み、二次的に鉱化(変質)した結果、沸石が生成されます。吉見町周辺は、かつて中新世に火山活動の影響を受けた浅海性堆積盆地だったため、このような沸石が生成されました。

初心者としては水晶との見分け方が難しい部分もありますが、水晶は透明、沸石はやや半透明、もしくは乳白色。また両者の生成過程も異なり、水晶は熱水(マグマ由来の高温流体)から沈殿して結晶化し、高温・高圧環境で形成される高温型の“深成鉱物”。一方で沸石は火山灰やガラス質堆積物が低温の熱水でゆっくり変質してできる低温型の“二次鉱物”となります。

おことわり
何故かネット上で誰一人としてこの場所を特定する情報を公開していません。鉱石マニアの世界で厳しい掟でもあるのでしょうか。念のためこちらでも控えさせていただきます。但し、YAMAPに吉見町のウォーキングコースが数件投稿されているので、そちらでかなりエリアを絞り込めます。そのうえでグーグルマップの航空写真で露頭を確認すれば場所を特定できるはずです。


おことわり
今回の記事はAI(Chatgpt)に現地の画像を何枚も見せ、度重なる対話形式で情報を引き出しました。大きく間違った情報はないと思いますが、念のため本気で鉱石・地質を勉強されている方は、改めて情報の確認をご自身で行ってください。

あとがき

ということで、吉見町のキーワードは珪化岩と沸石です。「地質的にも面白い場所なんですよ」とGPTが言ってました。確かに、珪化岩がそこら辺に落ちてる訳ですからビックリします。地元の人にとっては見慣れたただの石ころなんでしょうけどね。
お気に入りの沸石 名は姫前
それにしても吉見町の沸石はとてもキレイでした。特にお気に入りの石があります。吉見町だけに比企氏に因んでその石に姫前と名付けました。姫前は比企一族の女性で江間義時に嫁ぎました。「容顔太美麗云々」と吾妻鏡で絶賛された絶世の美女だったそうです。

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