室岩洞
室岩洞の巨大地下空間 |
ジオパークをテーマに西伊豆へ行ってきました。土肥金山・安楽寺鉱湯・龕附天正金鉱・黄金崎公園・烏帽子山(雲見浅間神社)・室岩洞・沢田公園(白岩山岩壁窟画)など、魅惑の史跡が盛沢山でした。今回はその室岩洞編です。
伊豆石を切り出していた石切り場跡は、その後に整備され、魅惑の地下空間として再生されました。石切り場跡と言えばそれまでですが、この別世界感はその辺りでは味わえないでしょう。
基本情報
名称 :室岩洞分類 :石切り場
用途 :採石場
〇住所 :静岡県賀茂郡松崎町道部
〇料金 :無料
〇駐車場:有り
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室岩洞の伊豆石
伊豆石はやわらかく加工しやすく耐火性にも優れた石材として、昭和の初め頃まで伊豆各地で産出され、出荷されてきました。室岩洞は江戸時代から昭和29年まで稼働していた石切り場・採石場です。また伊豆石には海底に降り積もった火山灰や軽石からなるやわらかく加工しやすい伊豆軟石と、溶岩などからなる堅牢な伊豆竪石の二種類があります。伊豆石は、土蔵や倉庫、建物の基礎石、かまど、長州風呂(五右衛門風呂)などに広く使われていました。
室岩洞略図 現地案内板より |
全長2000mを有する室岩洞にある広大な地下空間は観光地として整備され、暗いこともあってか、まるで迷路のようなしびれる雰囲気でした。これはちょっと広大すぎて横穴というべきかどうかわかりませんが、横穴マニアにはたまらない物件です。何はともあれ、興味深く素敵な史跡なんです。
室岩洞
国道136号のカーブ途中に駐車スペースが現れます。室岩洞へはそこに車を停めて崖下に下りて行きます。それほど目立つ看板がある訳でもないので運転中は少し注意が必要かもしれません。
国道から崖を下りていくところ |
少しすると景色が開ける |
室岩洞入口に到着。初めて訪れる横穴に入るドキドキ感はいつものこと。
室岩洞入口 |
入口に入ると、いきなり人がいるのかと思いましたが、人形でした。土肥金山のように人形で当時の様子を再現してる場所がいくつかこの後現れましたが、この人形をここに置く必要性は全く感じられません。たぶん、これは室岩洞を整備した側のちょっとした掴みというか遊び心だと思います。「ちょっとだけ驚かせてみよう」的な。
「ようこそ室岩洞へ」 |
暗いので奥の方まで見えませんが素晴らしい雰囲気。どこまでもこの地下空間が広がっているようです。「せっかくだから暗闇で楽しませてほしい」と最初は思っていましたが、この広大な空間が全て暗闇だと、さすがにどこかで恐怖を感じるかもしれません。また地形の落ち込んだ水溜りなどもあったので、危険だし、これくらいでちょうどいいのかもしれません。
室岩洞 |
洞内は最低限のライトの灯りと、各所に案内板が置かれていて、それなりに整備されていることが伝わってきます。例えばこの案内板には石材の規格の変遷が主に記されています。石材は江戸末期では、二尺八寸(84.8cm)×五寸(15.2cm)×六寸(18.2cm)だったことに対し、昭和では三尺(90.9cm)×五寸(15.2cm)×六寸(18.2cm)となったそうです。
洞内の案内板 |
石を切り出すため平面に削られた壁面も、よ~く見るとたまに出っ張りが残されています。これは溶岩の破片などが火口から飛び出した火山弾です。火山弾は周辺の岩石より硬いためこれをよけて採石していたのではないかと考えられています。
〇内の出っ張りが火山弾の痕 |
こちらは順路から少し外れたライトの灯りがない場所です。手持ちのLEDライトだとよくわかりませんでしたが、こうしてカメラのフラッシュでそこが落とし穴状になっていることがわかりました。危険なので決められた場所だけを探検した方がいいみたいですよ。
これ以上進むとその向こうは陥没 |
何ヵ所かで地下水の溜まった場所がありました。何故かその地下水が青色に見えてとてもキレイなんです。
地下水が溜まった石室① |
地下水が溜まった石室② |
洞窟を適度な難易で味わえるところもここの素敵なところです。
室岩洞 |
ちょっと広いスペースに出たようです。一画では人形などで当時の石を切り出す様子などが再現されていました。そしてこの画像ではあまり伝わりませんが、岩盤の天井部分がキラキラしていて、地方で見る星空のようだったんです。場所が場所だけに、もしかしたら微量たりとも金銀鉱石の類が混じっているのかもしれません。土肥金山に行った翌日なのでそう考えたくもなります。
室岩洞 |
室岩洞 |
向こうに天然の灯りが射しています。入口とは違う出入口があるようです。
室岩洞 |
伊豆石の船積み湾
入口とはまた異なる出入口を出ると、そこにはこれぞ石切り場という景色が広がっていました。
室岩洞外観 |
そのまま海岸を見渡せる場所に出ます。ここは室岩洞で切り出した石材を船に積む場所だったそうです。現地案内板によれば、船積みする場を払い場、または浜丁場と呼んだそうです。
伊豆石の船積み湾 |
崖面を覗き込むと、確かに、石を引きずって斜面を下ろしたのであろう痕跡がみられます。石切り場から払い場までの搬出路を石引道、もしくは石出し道ともいうそうです。
石引道 |
アップした岩石の丘陵辺りが水冷破砕溶岩です。海底噴火で噴出した溶岩が海水で急激に冷やされて形成された岩石です。熱海の錦ヶ浦で勉強しました。
水冷破砕溶岩エリア |
ここからまた室岩洞に戻ると出口となり、室岩洞の洞窟ツアー終了です。ということで、伊豆石の石切り場・採石場跡でしたが、石切り場とそれを搬出する場所が併設されているところがなかなか歴史の理解が深まります。それに石切り場でこれだけ詳細な説明版が付けられている所も珍しいでしょう。とても楽しめました。
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あとがき オマケ
下画像はGoProで撮った映像のスクリーンショットです。手持ちのカメラよりキレイに撮れます。これからどうしよう。
火山弾の痕 |
船積み場 |
この後、沢田公園に寄り、土肥を経由して修善寺に向かいました。遠くに富士山、そして視界の半分が海となる海岸線のドライブ。
国道136号線沿い |
参考資料
□土肥金山□南から来た火山の贈りもの 伊豆半島ジオパーク
□伊豆市観光情報特設サイト
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