大仁鉱山坑道潜入
伊豆市にある大仁鉱山にやって来ました。実はこの日の2週間前にもここに訪れ、選鉱場跡・裏山・山神社などを見学していました。というのも、大仁鉱山で確認できた四つの坑口は全て塞がれていたのですが、実は一つだけ何とか入れそうな箇所があったのです。帰ってからもそのことが頭を離れず、思いきってその坑道に入ってしまおうと、今回再訪することになりました。狙いは金鉱石を自分の手で削って持ち帰ることです。
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アクセス
最寄り駅となる伊豆箱根鉄道駿豆線大仁駅へは、品川から三島まで新幹線、三島から大仁駅まで駿豆線となります。乗車時間だけなら78分なので乗り継ぎのタイミングが良ければ大よそ90分、大めにみても首都圏から2時間ぐらいで向かえます。そして大仁駅から大仁鉱山へは大よそ1km、歩いて15分くらいです。大仁鉱山の歴史
水晶山から眺めた大仁鉱山遠景 |
横穴・洞窟の危険性
鎌倉の裏山にあるやぐら(中世の横穴墓)のあの退廃的な美しさと圧倒的な遺跡感に魅せられ、この史跡めぐりの趣味を始めたので、これまで色々な横穴に訪れました。しかし、今回のような、観光客が入ることを想定していない未整備の坑道に入るのは初めてです。そこで改めて坑道の危険性を挙げてみたいと思います。
①落石・崩落の危険性
②有毒ガスの危険性
坑道内壁面の劣化による落石、また鉱石採取のため岩盤を叩くことにより発生する崩落の危険性がまず考えられます。またここ大仁鉱山は金山プラス温泉が湧出しているパターンなので有毒ガスの危険性も考えられるでしょう。
それでは次に、個人的にこれまで経験した横穴・洞窟の危険性を挙げてみようと思います。
①気味悪い生物との遭遇
②予期せぬ物体との遭遇
横穴・洞窟に入るのであれば、カマドウマをはじめとする気味悪い生物との遭遇は不可避です。何か攻撃をしてくる訳ではありませんが、あの気味悪い生物をなるべく視界に入れたくないと誰もが思うでしょう。
また鎌倉の有名なあの地下壕でも実際にあったように、洞窟には稀に死体、もしくは自殺体があってもおかしくないようです。それからもう一つ、お化け・幽霊などの類はこの世に存在しないとわかっていても、真っ暗闇に身を置くと、脳内で勝手にホラー映画のワンシーンが再生されるので、そんな恐怖との闘いもあります(笑)。
それでは、以上を踏まえて気を付けて行ってきます。
大仁鉱山坑道
大仁鉱山選鉱場跡から山神社に向かうように進むと四つの抗口が確認できます。全てコンクリートで塞がれているのですが、一つだけ下画像のとおり、中途半端に塞がれている抗口があります。
大仁鉱山抗口 |
入口から見た坑道内部 |
第一扉 |
散乱する石 |
硫黄に浸食された壁面 |
やっぱりいた・・けどカマドウマじゃなくゲジゲジ |
第二扉 |
塞がれた箇所 |
第三扉もしくは岐路の扉 記憶が定かでない |
第四扉 |
石と廃材 |
石と廃材 |
石 |
坑道内の様子に変化 |
壁面 |
何かの器具が落ちている |
ライト |
道が二股になっている |
また扉 |
しかもこの扉開かない・・
ここまで来て採石現場を見せてくれないのかとガックリ。でも岐路があったので戻ってそちらに進むことに。すると、こちらはコンクリートで固められていない岩石剝き出しの当時のままの坑道。
コンクリートで固められていない坑道 |
地面もそのまま |
行き止り・・ |
石英の塊? |
「ぎいぃぃ」遠くの入り口側で扉の動くような音が・・
「イヤイヤ、この閉塞された洞窟で風など吹くはずないし」とビビっていると、さらに背後に何かしらの気配が。一瞬にして貧血になりそうなレベルで頭から血が引いていくのがわかりました。石を持ち帰るからだろうか(そんな訳ないw)と悩みつつもひとまず入口に向かって歩くことに。脳内がホラー映画モードになっているせいか、今振り返ると↓こんな状況になっているんじゃないかと想像を掻き立てられます。
![]() |
貧血になるレベルの脳内副産物 |
富士山! |
城山と富士山 |
命がけ(笑)で持ち帰った鉱石 |
取り外し成功 ちょっと小さくなったけど |
水晶山とさりげなく富士山 |
大仁橋と大仁鉱山 |
水晶山から眺めた大仁鉱山 |
水晶山から眺めた富士山 |
水晶山から眺めた城山 |
あとがき 本日のおみやげ
坑道から持ち帰った鉱石ですが、とにかくキレイでしかも大きい。石英の塊ということで大事にコレクションしておきます。石がこびりついているので、やすりか何かで削ってキレイに仕上げれば宝石のようになると思います。
大仁金山の鉱石 |
大仁金山の鉱石 |
ちなみに坑道内が何故あれほどコンクリートで整備されていたのか、どうしてあんなに扉があったのか、よくよく考えると不思議ですよね。それは名古屋大学の地震観測地点として使われている(いた?)からだとウィキペディアにありました。
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4 件のコメント:
僕も4月22日に大仁鉱山跡へ観光に行ったのですが、とても面白そうなことをやっておられるんですね。
そうですね、自分のやり方次第でただの廃墟がちょっとしたアトラクション遊園地みたいに楽しめます。
そういうのは、どこかへ許可申請すれば入れるんですか?
申請はしてませんし、しても却下されるでしょう。
記事に書いてあるとおり、塞がれているところを強引に侵入しました。
ですから何があっても自己責任ということになりますね。
批判はあるかもしれませんが、悪意はないし、イタズラ目的でもないので、少しくらいの見学は許してくれるだろうと判断しました。
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