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大仁鉱山坑道潜入【帝産大仁金山】

2023/03/20

伊豆市 鉱山

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大仁鉱山坑道潜入


伊豆市にある大仁鉱山にやって来ました。実はこの日の2週間前にもここに訪れ、選鉱場跡・裏山・山神社などを見学していました。というのも、大仁鉱山で確認できた四つの坑口は全て塞がれていたのですが、実は一つだけ何とか入れそうな箇所があったのです。帰ってからもそのことが頭を離れず、思いきってその坑道に入ってしまおうと、今回再訪することになりました。狙いは金鉱石を自分の手で削って持ち帰ることです。

【帝産大仁金山】大仁鉱山と山神社

【帝産大仁金山】大仁鉱山と山神社

伊豆市瓜生野にある大仁鉱山(帝産大仁金山)で、廃墟と化した、というか廃墟を通り越した選鉱場跡地とその裏山を探検してきました。大仁鉱山の金鉱脈は天正年間に発見され、徳川幕府の金山奉行でおなじみの大久保長安によって、慶長年間に開発されました。その後、山は...

アクセス

最寄り駅となる伊豆箱根鉄道駿豆線大仁駅へは、品川から三島まで新幹線、三島から大仁駅まで駿豆線となります。乗車時間だけなら78分なので乗り継ぎのタイミングが良ければ大よそ90分、大めにみても首都圏から2時間ぐらいで向かえます。そして大仁駅から大仁鉱山へは大よそ1km、歩いて15分くらいです。

大仁鉱山の歴史

水晶山から眺めた大仁鉱山遠景
大仁鉱山の金鉱脈は天正年間に発見され、徳川幕府の金山奉行でおなじみの大久保長安によって、慶長年間に開発されました。その後、山は閉じられていましたが、1933年に帝國産金興業株式会社によって操業が再開され、1973年の閉山まで稼働していました。鉱床は熱水鉱床、主要鉱物は自然金、その他にも石英・黄鉄鉱・閃亜鉛鉱などが産出されていました。

横穴・洞窟の危険性


鎌倉の裏山にあるやぐら(中世の横穴墓)のあの退廃的な美しさと圧倒的な遺跡感に魅せられ、この史跡めぐりの趣味を始めたので、これまで色々な横穴に訪れました。しかし、今回のような、観光客が入ることを想定していない未整備の坑道に入るのは初めてです。そこで改めて坑道の危険性を挙げてみたいと思います。

①落石・崩落の危険性
②有毒ガスの危険性

坑道内壁面の劣化による落石、また鉱石採取のため岩盤を叩くことにより発生する崩落の危険性がまず考えられます。またここ大仁鉱山は金山プラス温泉が湧出しているパターンなので有毒ガスの危険性も考えられるでしょう。

それでは次に、個人的にこれまで経験した横穴・洞窟の危険性を挙げてみようと思います。

①気味悪い生物との遭遇
②予期せぬ物体との遭遇

横穴・洞窟に入るのであれば、カマドウマをはじめとする気味悪い生物との遭遇は不可避です。何か攻撃をしてくる訳ではありませんが、あの気味悪い生物をなるべく視界に入れたくないと誰もが思うでしょう。

また鎌倉の有名なあの地下壕でも実際にあったように、洞窟には稀に死体、もしくは自殺体があってもおかしくないようです。それからもう一つ、お化け・幽霊などの類はこの世に存在しないとわかっていても、真っ暗闇に身を置くと、脳内で勝手にホラー映画のワンシーンが再生されるので、そんな恐怖との闘いもあります(笑)。

それでは、以上を踏まえて気を付けて行ってきます。

大仁鉱山坑道


大仁鉱山選鉱場跡から山神社に向かうように進むと四つの抗口が確認できます。全てコンクリートで塞がれているのですが、一つだけ下画像のとおり、中途半端に塞がれている抗口があります。
大仁鉱山抗口
上画像の赤丸で印した隙間から入ります。画像だととてつもなく狭く見えるかもしれませんが、お腹の出ている人や太っている人でない限り入れます。飛び込むように上半身を入れ、今度は身体の半身をまた外に出し片足を入れればすんなりいきます。
入口から見た坑道内部
入口から見えた限りでは、内部はいくつかのドアがあり、思ったよりも奥行きがありそうです。突き当りは見えません。それでは、最初の扉をくぐろうと思います。が、暗闇と静寂の中で水滴が落ちて何かに当たっているような音が不定期に延々と聞こえてきます。まるでバイオハザードのゲームやホラー映画の世界に実際に入り込んだかのような凄い雰囲気。
第一扉
第一扉を抜けると、底面がコンクリートで整備されているだけでなく、岩石かと思っていた壁面も実はコンクリートでちゃんと固められていることがわかりました。坑道内は比較的安全なようです。ほっとしたのも束の間、でもそうなると今度は金鉱石を削れないという根本的な問題が生じてしまいます。
散乱する石
硫黄に浸食された壁面
やっぱりいた・・けどカマドウマじゃなくゲジゲジ
石が散乱していましたが、もちろん金鉱石の類ではなくモブです。そして天井にうごめく生物の正体はゲジゲジ。しかもかなり大きい。
第二扉
塞がれた箇所
第二扉の向こうにまた扉が見えます。そしてここには何かを厳重に塞いだ痕跡があります。こちらにも坑道があったのでしょうか。
第三扉もしくは岐路の扉 記憶が定かでない
第三扉を開けると、今度は入口側に向かって岐路があります。実はこの坑道のすぐ近くにまたもう一つ、百笑の湯が管理する抗口があるのですが、位置・方向的にそちらと繋がっているのは明白です。そして洞窟なのに暖かい、というか生暖かいんですよ。先ほどの硫黄に浸食された壁面からも、温泉が近くで沸出しているのかもしれません。土肥金山のあの生暖かさとそっくり。
第四扉
石と廃材
石と廃材
第四扉を開けると、そろそろ採石現場かと思いきや、廃材置き場となっていました。四角形に削られているスペースが、西伊豆の室岩洞で見たパターンと同じです。この場合、奥に行くと急激に地形が落ち込んでいたりするので、深入りするのは控えることに。石は赤石がメインで目を惹くものは落ちていません。
坑道内の様子に変化
そしてここから先がドアなどの遮るものがないためか、光が暗闇に吸収されその先が全く見えません。もしかしてそろそろ採石現場でしょうか。
壁面
「B3・・B3・・B3・・」「ビーサン・・」「ビーチサンダル?」「なんのこっちゃ」
何かの器具が落ちている
ライト
この坑道一体どこまで続くのやら、途中に備え付けライトがあったのでスイッチを探してみましたが、やっぱりそんなものありません。
道が二股になっている
暗闇を進むことしばし、ここで急展開。道が二股になっています。ひとまず主坑道を進むと・・。
また扉
二股となった道を主坑道側へ進むと、なんと、また扉・・。「なんやねん!どんだけ扉あるんや!」と、さすがに東京で生まれ育った自分でも関西弁でツッコミたくなるレベル。

しかもこの扉開かない・・

ここまで来て採石現場を見せてくれないのかとガックリ。でも岐路があったので戻ってそちらに進むことに。すると、こちらはコンクリートで固められていない岩石剝き出しの当時のままの坑道。
コンクリートで固められていない坑道
地面もそのまま
行き止り・・
これなら金鉱石を削れるのではないかと期待したのも一瞬。「あっ」という間に行き止り。
石英の塊?
しかしこの辺り、コンクリートで固められていないだけあって、今まで落ちていた石とは何かが違います。目を凝らすと、見たこともない大きさの光る物体を発見。よくわからないけど石英の塊でしょうか。とりあえずおみやげにもらっていくことに。すると・・

「ぎいぃぃ」遠くの入り口側で扉の動くような音が・・

「イヤイヤ、この閉塞された洞窟で風など吹くはずないし」とビビっていると、さらに背後に何かしらの気配が。一瞬にして貧血になりそうなレベルで頭から血が引いていくのがわかりました。石を持ち帰るからだろうか(そんな訳ないw)と悩みつつもひとまず入口に向かって歩くことに。脳内がホラー映画モードになっているせいか、今振り返ると↓こんな状況になっているんじゃないかと想像を掻き立てられます。
貧血になるレベルの脳内副産物
とりあえずなぜ扉が動いたのかという疑問など考えている暇はなく、とにかくこの坑道から出ようと足早に戻りました。
富士山!
坑道を出てこの小谷戸からも出ようとした瞬間、富士山が見えました。前回来たときは雲が多かったせいで見えなかったということがここでわかりました。しかも城山と富士山のコラボ。それにしても、今まで真っ暗闇にいたせいもあってか、こんなにも晴ればれした景色を見るのは初めてかもしれないというぐらいです。
城山と富士山
さて、坑道から持ち出した鉱石ですが、母石が大きすぎて持ち帰れません。持って来たハンマーで叩いて削って取り出すことにしました。
命がけ(笑)で持ち帰った鉱石
取り外し成功 ちょっと小さくなったけど
それでは、大仁駅に向かうついでに水晶山に寄って行こうと思います。水晶山は実際にも水晶が採れたそうです(今は閉山)。数分で頂上の見晴らし台に行けます。
水晶山とさりげなく富士山
大仁橋と大仁鉱山
水晶山から眺めた大仁鉱山
水晶山から眺めた富士山
水晶山から眺めた城山

あとがき 本日のおみやげ


坑道から持ち帰った鉱石ですが、とにかくキレイでしかも大きい。石英の塊ということで大事にコレクションしておきます。石がこびりついているので、やすりか何かで削ってキレイに仕上げれば宝石のようになると思います。
大仁金山の鉱石
大仁金山の鉱石
今日は、本物の坑道部分には入れず、そして金鉱石を採ることも叶いませんでしたが、でもこれはこれで意外に面白かったです。

ちなみに坑道内が何故あれほどコンクリートで整備されていたのか、どうしてあんなに扉があったのか、よくよく考えると不思議ですよね。それは名古屋大学の地震観測地点として使われている(いた?)からだとウィキペディアにありました。

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